株式会社空調服(本社・埼玉県戸田市、市ヶ谷弘司社長)は、小型電動ファンを内蔵した「空調服」を販売している。作業着として着用するだけで、空調のない夏場の屋外作業所でも爽快な環境をつくり出す。熱中症など労災防止にも効果を発揮する。空間全体を冷やすエアコンに比べて電気料金が極めて低いため、省エネ・節電効果が大きいという。
空調服は、気温に応じて発汗する身体の生理的冷却システム「生理クーラー」機能を利用する。電動ファンで服内に大量の風を送り込み汗を瞬時に蒸発し、気化熱の作用で体の状態に適した冷却を実現。電気代は1カ月にわずか20円程度と消費電力の大幅な削減も可能となる。
市ヶ谷透業務部長は空調服の開発について「もともとテレビのブラウン管測定器を手掛ける会社として創業したのだが、社長が東南アジアを視察した際、空調がない工場で働く作業員を見て、できるだけ少ないエネルギーで涼しく働く方法はないかと考えたのがきっかけ」と説明する。その後、試行錯誤を重ね現在の方式にたどり着く。埼玉県などのベンチャー企業コンテストでは数多くの受賞歴を誇る。
2004年の発売開始以降、販売量は着実に上り続けている。11年度は12月の段階で2万着に迫る勢いで売れている。「ことしは東日本大震災の影響による節電要請もあり、企業から注文が多く来た」と、その省エネ効果から幅広く注目を集めた。
建設業界でも鉄筋や溶接など専門工事会社から多くの注文を受ける。大手ゼネコンや設備会社、電鉄会社から引き合いが増え、認知度も上昇中だ。作業管理者からも「災害防止につながった」と高く評価する声が上がる。特に『フード付き屋外作業用空調服』の需要が多いという。「フードをかぶることによってヘルメット内にも風が流れる。チタン加工の裏地が赤外線を防ぎ温度上昇を抑える」のが人気の理由だ。
冬場には遠赤外線の発熱体を内蔵したベスト「ベスウォーマー」もある。「熱伝導が良く、発熱体を柔らかくするなど装着感も工夫した。バッテリーは500回程繰り返し使用できるため、使い捨てカイロに比べ経済性が良く地球環境にも優しい」とアピールする。
同社のHP http://www.9229.co.jp/index.html
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