2012/01/25

BIMで施工図に命吹き込む/新菱冷熱でベテランが新人教育

 新菱冷熱工業は今期から、新入社員向けにBIMの集中研修を取り入れた。本来なら翌年2月まで行っていた現場研修を11月で切り上げ、全員を本社で行うBIMによる施工図教育に切り替えた。先端設計ツールと、古くから先輩後輩間で伝承されてきた施工図教育を組み合わせて行う新たな研修方法だ。
 東京・四谷にある本社別館のワンフロアで44人の新入社員が、マルチモニターを前にS-CADという同社独自のBIMツールを使って施工図を書いている。提出された施工図には、同社のベテラン社員が赤いペンで真っ赤になるまで修正点を書き込む=写真。
 「ゼネコンの総合図とは違って、われわれが描く施工図は、納まりやメンテナンス検討、搬入計画にもストレートに影響する。そのノウハウは設備工事を担うわが社のノウハウであるべき」と、同社の岸本洋喜専任課長は話す。
 現場業務が忙しくて外注してしまうことも多い施工図だが、「施工図が描けなければ、他人の描いた図面もチェックできない」と、同社では徹底的に施工図を描けるように研修する。
 今期入社で研修を受けている小舘雄気さんは「情報交換しやすく、ほかの人のやり方がよく分かる」と研修の成果を話す。
 この研修の受け皿となる「施工図推進センター」を立ち上げたのは1年半前。その後、ビルのワンフロアを教育センターとして整備し、新人以外に若手社員も含めて施工図教育をスタートさせた。
 同社独自のS-CADは、ベントレー・システムズのマイクロステーションをベースにしたDesignDraftを、新菱冷熱向けにカスタマイズしたもの。同社は、BIMという先端ツールで、施工の要とも言える施工図に命を吹き込もうとしている。

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