グラフィソフトジャパンと日積サーベイが、BIMデータの相互連携をめざして提携した。グラフィソフトの意匠系BIMソフト『ArchiCAD』と日積サーベイの建築積算ソフト『HEΛIOΣ(ヘリオス)』を、IFCを共通フォーマットにデータ連携させる。設計業務の早い段階から数量積算やコスト試算が可能になる見込みだ。大手ゼネコンによる実プロジェクトでの検証もスタートした。
両者の連携は、ArchiCADの意匠データをIFCに出力し、ヘリオス側で積算データに変換する。オブジェクト単位のデータ活用となるため、概算数量だけでなく、実施詳細積算にも利用できる。4月末にリリース予定の最新版ヘリオスに連携機能が標準装備され、両者のデータ互換が実現する。今後はヘリオスからArchiCADへのデータ連携も整える方針だ。
「OPEN BIM」の実現に向け、各専門領域の主要ソフトとのデータ連携を結んでいるグラフィソフトにとっては、積算領域でのデータ連携が悲願だった。近年の売り上げを下支えしているゼネコンからもデータ連携の要望が出ていた。コバーチ・ベンツェ社長は「手薄だった積算データへの利活用が実現し、施工段階へのBIM活用に弾みがつく」と期待している。
建築積算専業事務所として2013年に創業50年を迎える日積サーベイでは、自社の業務効率化を目的にヘリオスを開発し、40年前から外部に販売も進めてきた。04年にはバル・システムを設立し、システム販売事業を強化。ユーザー数はゼネコン、建築設計事務所、積算事務所など1000社を超える。
生島宣幸社長は「BIMに対応した積算システムとなることで、ユーザーの業務効率が格段に向上することは間違いない。特に積算事務所にとってはプロジェクトの早い段階から業務に関与できるチャンスが生まれ、コストマネジメントなど業容拡大の期待も出てくる」と強調する。
日積サーベイでは、意匠から積算にデータが連携する今回の取り組みを通過点と捉え、さらに積算データを施工図データとしてつなげる検討も進めており、将来的には「保守管理やFM(ファシリティーマネジメント)領域での積算データ活用にも注目している」(生島社長)と明かす。
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