日本建築家協会東北支部宮城地域会(JIA宮城、安達揚一地域会長)は24日、佐藤総合計画+SUEPの設計、阿部建設の施工により、宮城県山元町浅生原で工事が進む山元町立山下第二小学校校舎等災害復旧(丹野晴基作業所長)の現場見学会を開いた。
旧校舎は、東日本大震災に伴う津波で被害を受けており、敷地が災害危険区域に指定されたことから、新市街地として区画整理事業が進むJR常磐線新山下駅周辺に新校舎を整備する。
新校舎は、新市街地の中心に建てられることから、地域交流拠点としての役割を果たすため、通常南北に配置する校舎とグラウンドを、東西に延びるメーンストリートに沿って校舎を西、グラウンドを東にゾーニングすることで、街と学校との距離を近づける。
また、駅前から隣接する子育て拠点施設まで、街路に沿って緑地帯を連続させることにより、エリアの一体感を創出する。
規模は、校舎が木造(一部耐火S造)2階建て延べ4740㎡、屋内運動場はRC造(屋根木造)平屋建て816㎡。学校機能を確保しながら地域利用が可能となるように、1階を地域利用可能な音楽室など、2階は教室となっている。
2015年7月に着工し、16年7月末の完成を目指して仕上げ工事などが進められている。
見学会では、参加した会員が、設計を担当した谷口直英佐藤総合計画東京本社第三設計室長の案内のもと、概要や設計コンセプトなどの説明を受けながら、最新の技術を生かしつつ、コスト縮減策などを施してつくられている校舎を見て回った。
谷口室長は「耐火上の要件となっている延べ3000㎡を超える大規模建築物で、構造材に木材を積極的に活用することが課題だった。主要構造部を部分的に耐火構造とすることで防火区画を形成したほか、屋根を支える大黒柱など適材適所で木部材を鉄骨部材に部分的に置き換えた混構造とし、主体構造を木造としながらも要求性能に柔軟に対応した」と説明した。
また、普通教室は2学年ごとにオープンスペースを組み合わせた“田の字型”ユニットとし、トップライトを中心に木造の放射状の梁を傘のように学習空間を覆うことにより、「“いえ”をイメージさせる一体感を演出している」と解説した。
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