日本を代表する漫画の神様たちが青春時代を過ごした奇跡のアパート「トキワ荘」を復元--。東京都豊島区は、トキワ荘の外見を可能な限り当時を再現し、内部は『マンガの聖地としま』の発信拠点となるマンガ・アニメミュージアムとして整備する。写真は復元する「トキワ荘」の50分の1模型
11日閉会の第2回区議会定例会に上程の2016年度補正予算案に、基本計画策定費1000万円を計上、当初予算と合わせた1600万円とし、予算成立後、早期に基本計画を委託する考え。また、マンガジャパン(里中満智子代表理事)と連携して、26日に検討会議を設置し、建物や展示の内容など具体的な検討に入る。早ければ12月にも基本計画素案をまとめ、今年度末に基本計画を策定する。
トキワ荘は、同跡地から300mほどの区立南長崎花咲公園(南長崎3-9-22)約2200㎡内に整備する。規模は、S造2階建て延べ約420㎡。建築面積は約220㎡。建物建設費として、2億-3億円を見込む。
高野之夫区長は7日の定例会見で、「東京五輪前の2020年3月までにトキワ荘を実物大で復元する」との方針を表明。地域文化資源を生かしたまちづくりを重視し、「アニメの原点に漫画がある。日本を代表する大切な文化を育てていくのは行政の使命だ。世界に誇る日本の漫画やアニメの文化の聖地とも言える場所を復元し、多くの人に発信したい」と強調した。
会見する鷹野区長(左)と漫画家の里中満智子さん |
会見に同席した、同区国際アート・カルチャー都市懇話会特別顧問を務める漫画家の里中満智子さんは「トキワ荘で暮らしていた手塚先生や赤塚不二夫先生など皆さんの原稿の複製などを展示したい」との思いを明らかにするととに、「漫画ファンの1人として、ドキドキわくわくする」と話し、事業に積極的に協力していく姿勢を示した。
検討会議には、トキワ荘関係者、地元地域団体も参加し、26日に初会合を開く。17年度に基本設計、実施設計に入る。木造の外観を忠実に再現する一方で、ミュージアムとしての機能を融合するため、設計上での創意・工夫が必要となりそうだ。工事は、18年度の着工を予定している。
同区南長崎3丁目にあったトキワ荘は、木造2階建て延べ165㎡の規模。昭和20-30年代に手塚治虫を始め、後に日本を代表する漫画家となった石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A氏らが集まって住んでいたアパート。1982年に取り壊された。
同区は、16年度に「トキワ荘等に関する基礎調査」を丹青社に委託してまとめている。
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