A 1日から7日までの全国安全週間を前に、各社の安全大会もピークを過ぎたけど、ことしは何か特徴的な話題はあったかな。
(写真は大成建設が施工中の仮称・品川LT計画新築工事を現場パトロールする西岸正人東京労働局長ら)
B 支店長や協力会会長のあいさつで、必ずといっていいほど出てくるキーワードは「人材不足」。政府の経済対策や民間設備投資の回復基調を受けて工事量が増加する一方、現場では熟練技能労働者の引退や高齢化、若年者不足などで労災発生リスクが増えているという状況は各社の共通事項だ。さらに、他産業から入職する未熟練技能労働者の増加による労災発生リスクも高まっている。各社の大会では、新規入場者に対する教育の充実を参加者に訴える場面も多く見られた。
C 熟練技能労働者の引退によって、現場での「安全文化」継承が滞っていると指摘する幹部もいた。あるゼネコンのトップは、引き継ぐための若年層が入ってくるような環境づくりを最重点課題に上げ、現場の安全活動徹底を切実に訴えていた。固定化した「3K」のイメージを払しょくするには時間がかかるが、技能労働者の高齢化や若手が集まらないという状況の改善は、建設業界全体の課題だ。将来を担う若手を呼び込むには、安全・安心に働くことができる職場環境の整備が不可欠といえる。
D 安全大会は昼食後に開かれることが多いので、毎年のことながら満腹になって睡魔に襲われ、居眠りする人が目立つ。ところで、ある鉄筋工事業者の大会は、社長のあいさつがことしは他社と違っていた。通常は、事故が増えているから気を付けようといった話で終わりだが、スライドを使って事故が起きた場所や器具の写真をスクリーンに映し、なぜ事故が起きたのか、具体的にどうすれば再発を防止できるのかを説明していた。ただ話を聞いているだけだと右から左になってしまうが、写真や映像などを利用すると分かりやすいし、興味も引く。マンネリでなく工夫が必要だ。A ところで先日、新国立競技場整備に伴う現国立競技場の解体工事が再公告された。前回の不落を含めて水面下では何が起きているの。
E 国立競技場の解体工事は2工区に分割され、それぞれ20億2000万円を超える大規模プロジェクトだ。これほど大きな取り壊し工事は、全国的に見てもそうあるものではない。その先にある新国立競技場新築を見据えてか、当初は大手ゼネコンも関心を寄せていたし、解体業界の関心も相当高かったようだ。
F 前回の入札経過は公表されていないが、取材を進めていくと、どうも応札したのは中堅ゼネコンのようだね。
D 解体業者からは、ゼネコンの下で参加するのではなく元請けとして参加したいといった声も聞こえてきた。
F 結果的には、解体業者ではなく、大手ゼネコンに参加機会を与えたわけだが、結局は不落となった。
A ところで、建設市場の拡大は解体工事と関係が深い産業廃棄物処理業にも影響を与えているようだけど。
E 水面下で進行している最大の問題は、トラックやダンプの運転手不足だ。道路法改正によって普通免許と大型免許の間に、中型免許が創設された。ただ直近統計をみると20歳以上24歳未満での中型免許保有者は普通免許取得者の3%弱しかいない。
A それがどう影響するの。
E 産廃や資機材運搬によく使われる4t車は中型免許がなければ運転できない。担い手の中長期的確保・育成の面で、新たな資格が人材確保の障害になっている。
F そうした中で、今回の再公告は解体業者に門戸を開いた。
D ゼネコンと解体業者によるJV編成は認めず、施工確認型総合評価落札方式の適用も外しているので、価格競争になる。
A いずれにしても17日の開札からは目が離せない。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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