「目からウロコだった」と話し始めるのは、谷沢製作所営業部の樫本知史課長。3年の歳月を経て商品化した建設現場向け保護帽『エアライト』には、ヘルメット内部に欠かせない衝撃吸収の発泡スチロールが存在していない。保護帽の規格化から40年以上経過するが、初めてのことだ。発売と同時に「問い合わせ件数は従来の10倍以上」と対応に追われている。
従来品とはどこが違うか。近年は熱中症対策が叫ばれ、ヘルメットに涼しさを求めるニーズが高まっていた。内部を発泡スチロールで覆う従来品は「とにかく蒸れる」との声が絶えなかった。通気性を少しでも高めようと風通し用の孔あきヘルメット『飛翔』を販売したのは10年前。現在はこれが同社の主力商品となっている。
「そもそも発泡スチロールを取り除かなければ、本当の涼しさは提供できない」と、開発部門で検討がスタートしたのは3年前だった。規格では墜落保護の対応に「衝撃吸収ライナー」の設置が義務化されているが、低コストの「発泡スチロール」に勝る素材はなく、業界のスタンダードとなっていた。ウレタンなどで代用する検証も進められたが、コスト高が商品化のネックとなった。
通常のヘルメットは、帽体の中に発泡スチロールを入れ、内装を取り付ける3層構造になっている。内装自体に衝撃吸収ライナーの役割を持たせれば、帽体との間にすき間を確保できる。考案したのは衝撃吸収を担う六角柱の「ブロックライナー」。これを内装自体に効果的に配置すれば、発泡スチロールと同等以上の衝撃吸収を実現できる。そもそもポリエチレン素材の内装は型押しによって作られているだけに、製造コストも最小限に抑えられるメリットがあった。
ヘルメット前方からの風は、頭頂部の広い空間に入り込み、後頭部の熱を後方から排出する。頭頂部の温度差は従来品と比べ装着から10分後に約6.5度。驚くべきことに内部の温度は装着時の外気温より1.6度しか上昇していないことが分かった。しかもブロックライナーの設置場所は20カ所に達し、従来品以上の衝撃吸収力を誇る。
業界初の発泡スチロールなし保護帽『エアライト』は、帽体に8点留めで固定するタイプ。メーカーとタイアップしてオリジナルのヘルメットを愛用する大手ゼネコン向けを意識し、今後は4点留めの商品化も検討中だ。ある大手電気設備会社では、社内標準として採用する動きも出てきた。樫本課長は「実は電気設備工事では通電を防ぐため、そもそも孔開きヘルメット自体が採用できない。蒸れ防止という点からも、特に電気設備の現場では重宝されるだろう」と期待を寄せている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
従来品とはどこが違うか。近年は熱中症対策が叫ばれ、ヘルメットに涼しさを求めるニーズが高まっていた。内部を発泡スチロールで覆う従来品は「とにかく蒸れる」との声が絶えなかった。通気性を少しでも高めようと風通し用の孔あきヘルメット『飛翔』を販売したのは10年前。現在はこれが同社の主力商品となっている。
「そもそも発泡スチロールを取り除かなければ、本当の涼しさは提供できない」と、開発部門で検討がスタートしたのは3年前だった。規格では墜落保護の対応に「衝撃吸収ライナー」の設置が義務化されているが、低コストの「発泡スチロール」に勝る素材はなく、業界のスタンダードとなっていた。ウレタンなどで代用する検証も進められたが、コスト高が商品化のネックとなった。
六角柱の「ブロックライナー」が衝撃吸収の役割を担う |
ヘルメット前方からの風は、頭頂部の広い空間に入り込み、後頭部の熱を後方から排出する。頭頂部の温度差は従来品と比べ装着から10分後に約6.5度。驚くべきことに内部の温度は装着時の外気温より1.6度しか上昇していないことが分かった。しかもブロックライナーの設置場所は20カ所に達し、従来品以上の衝撃吸収力を誇る。
業界初の発泡スチロールなし保護帽『エアライト』は、帽体に8点留めで固定するタイプ。メーカーとタイアップしてオリジナルのヘルメットを愛用する大手ゼネコン向けを意識し、今後は4点留めの商品化も検討中だ。ある大手電気設備会社では、社内標準として採用する動きも出てきた。樫本課長は「実は電気設備工事では通電を防ぐため、そもそも孔開きヘルメット自体が採用できない。蒸れ防止という点からも、特に電気設備の現場では重宝されるだろう」と期待を寄せている。
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