2014/07/12

【BIM】まさに現代の「点の記」! 3Dスキャナ背負い山を登る社長

よく大きな箱を背負って山を登っている。箱の中身は長距離3次元レーザースキャナー。他の荷物を合わせると70㎏に及ぶ。運び込むのは奥地にあるダムや橋梁などを見渡せるさらに奥地。3次元計測を専門とする三重計測サービス(三重県四日市市)の横山薫社長は全国のへき地を飛び回る日々を過ごしている。「依頼が殺到する中で、個々の顧客からは体を気づかっていただく」ことも少なくない。それだけ3次元計測の効果は大きいが、代わりになる人材は少ない。

 3Dスキャナーは、対象物を正確なXYZ座標を持った点群データとして取り込む。トンネル内を定期的にスキャンし続ければ、前後の比較で形状の変位を把握できる。建設後数十年が経過したロックフィルダムでは、設計図面から起こした3次元モデルに余盛りなどを加味して竣工時を再現した上で、現況の点群データを比べれば、やせている部分などが一目瞭然になる。

構造物を計測し、経時変化や標高差を解析
一般的に3Dスキャナーによる計測には、他の測量機器ほど専門的な技能を必要としないといわれる。しかし、「計測後の解析は、人の技術力に負うところが大きく、誰にでもできることではない。そのため、後でどのような解析を行うかを理解して計測できる人が少なく、取得データに漏れがあっても気がつかない。結局は、解析する人が現地に赴かなければならない」

横山社長
3次元計測に注目は集まっているが需要の本格化はこれから。「一定規模の測量会社でも、3次元専門の技術者を1社1人置いておける状況ではない」。自らも3年前に独立した口だ。結果、限られた人材が集中的に忙しい。
 この分野にかかわるのは通算10年。6年前の従業員時代に開発した点群解析ソフト「REVGEO(リバジオ)」は、点群をモデル化するリバースエンジニアリング機能などが当時は理解されず、本人いわく「早すぎたソフト」。特許証に自らの名を残す。
 近年は、UAV(無人飛行体)「ファントム」を使った写真計測も導入した。ただ、「測量機器を高所に持ち込む手段として確かに楽だが、使うのは保険をかける意味合い。やはり大変でも自ら高性能スキャナーを運び込むことが基本だ」と横山社長。リーグル社の長距離・地上型3Dレーザースキャナーを愛用する。「カヌーで運ぶこともあり専用の浮きを開発した」という。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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