2013/12/21

【BIM】部材と家の情報一元化 積水ハウスがBIM&IDDSセミナー

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の理想の1つは、製造業のように、設計から維持管理までを一元的にマネジメントし、全体最適を実現することであり、住宅メーカーとの親和性が高い。建築研究所と日本建設業連合会が11月に開いた「BIM&IDDSセミナー」では、積水ハウスが講演し=写真、BIMによるサプライチェーンマネジメント効果により、年間30億―100億円のコストダウンを実現したことを明らかにした。


◇自社開発の3D-cad
 同社は、1979年に「オデッセイIII」、98年に「シーデックス」という3次元CADを自社開発した。同社設計部設計システム室の藤岡一男設計運用グループ課長は「当初からBIMに似たコンセプトを持っていた」と強調する。
 2008年にはBIMと出会って研究をスタートし、10年に新シーデックスを開発した。「部材まで内部で設計しているため、詳細な属性情報を設定可能にしているのが特徴」。入力されたモデルから各種の計算やCAD連携を行える「実施設計モード」が全国で約2500台、同じモデルからコンピューター・グラフィックスや提案を短時間に作成できる「プレゼンモード」が約4000台、それぞれ稼働中だ。

◇サプライチェーンとの連携


 その目的は、住宅ライフサイクルにおけるサプライチェーンの連携にある。「部材と家の情報を共通のプラットフォームで一元化することにより、業務の全社最適を目指す」。既に、数百万点の部材データベースと家ごとのデータベースを、本社サーバーで共有している。これにより「時間と場所の壁が取り払われ、バケツリレー方式で伝えてきた情報を、各部門がいつでも参照でき、業務のフロントローディングが可能になった」
 例えば、進行中の各モデルについて、全社的に廃止した部材の入れ替えや、設計ルールに基づくチェック、最適な施工工程表の作成などを自動的に行う。モデルの各部材は、工場で加工用データに変換可能。各現場への最適な出荷時期を把握して製造側に伝え、現場もトラックの待ち時間をなくしている。
 完成後も、部材データベースを基に作成した長期修繕計画を実行すると同時に、修繕履歴などを家ごとのデータベースで管理していく。「一元化した情報は宝の山。いかに有効活用していくかが重要だ」と藤岡課長。BIMの効果を継続的に発揮していくため、同社は、一度設計した部材の標準化や、統一的な研修を社内で徹底している。
 今後はさらに、スマートハウス分野などの取り組みとも連携させていく考えだ。例えば、エネルギーの見える化のために設置しているHEMS(ハウス・エネルギー・マネジメント・システム)の情報を一元的に蓄積するITプラットフォームを構築する。「人と家が会話しながら成長できる未来の住まいづくりなどに、情報を活用していきたい」と展望する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


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