事務所のHPに掲載されている文書 |
「建築家諸氏へ」と題した論文では、さまざまな場面で新国立競技場に関する質問が投げかけられる状況を「社会的な正義を唱える建築家たちの姿は、しばらく見かけなかったことです。これは是とすべきでしょう」と受け止める。
また、槇文彦氏の意見表明には「全く違和感はありません」とする一方で、署名運動が組織的に広げられたことには「違和感は増すばかり」だとした。さらに、団体名で提出された署名に対しては「その団体はこのプロジェクトに対して本気で水を差す覚悟があるのでしょうか。建築家の良識とは、その範囲のものだったのでしょうか」と疑問を投げ掛けている。
合わせて、「建築とは何か、建築表現とは何か、建築には何が可能なのか、というより根源的な議論が巻き起こってしかるべきなのに、語られているのは『分かりやすい正義』ばかり」と言い切る。
さらに、東日本大震災の復旧・復興や福島原発問題を引き合いに、「分かりにくく本質的な問題に黙する、というのはおかしい。もし、市民の立場に立つというのなら、良識を標榜するのなら、署名を集めるのなら、本当に怒る相手を間違えているのではないか」と訴えた。
一方、こうした状況がザハ・ハディド氏の「やる気」を削ぐことへの危ぐを示した上で、「決まった以上は、最高の仕事をさせる、ザハ生涯の傑作をなんとしても造らせる、というのが座敷に客を呼んだ主人の礼儀であり、国税を使う建物としても最善の策だと思う」との考えを示している。
また、神宮外苑の歴史性を問うなら「その発祥は新しい文化を取り入れ育む場所だったことも思い出すべき」と指摘する。
東京が国際的な都市間競争を勝ち抜いていくためにも、「どうせやるのなら、この建物に合わせて東京を都市改造する、くらいの臨み方がよいと思っている」「8万人規模の集客が数多く生まれるような都市になるためにはどしたらよいのか、そのような東京を造っていくのにはどうしたらよいのか、と考える方が前向きの考え方ではないか」と問いかけている。
内藤廣建築設計事務所のHPは、
http://www.naitoaa.co.jp/
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