2013/12/15

【土木】土木構造物のデザインコンペ 最優秀に富山大

土木デザインの設計提案競技「景観開花。10」の公開最終審査が7日、仙台市青葉区のエル・パーク仙台で開かれた。応募があった19作品の中から、野中美和さんと大島堅太さん、宮崎和也さん、堀昭仁さん(いずれも富山大)による「祭りに誘われて」が最優秀に選ばれた=写真。

 景観開花は、土木構造物にデザインの概念を定着させようと2004年から始まったアイデアコンペで、東日本大震災以降は「まち」を主軸にとらえたテーマを設定。東北大工学部建築・社会環境工学科平野研究室と土木学会景観・デザイン委員会などが主催している。10回目となる今回は、「未来へつなぐ防災まちづくりデザイン」のテーマに設定。被災地で課題となっている、まちにおける防災と日常生活という二律背反の関係をデザインでつなぎ、自然災害との新しい付き合い方の提案を求めた。
 審査は、土木設計家の篠原修東大名誉教授(委員長)と五十嵐太郎東北大大学院教授、首藤伸夫東北大名誉教授、西村浩ワークヴィジョンズ代表の4人が担当。11月中旬の1次審査で5作品を選定していた。
 7日の公開最終審査では、応募者によるプレゼンテーションを踏まえて、質疑応答が行われ、審査員の投票で各賞を決めた。
 最優秀に選ばれた「祭りに誘われて」は、津波災害の危険性がある富山県射水市港町で行われている新湊曳山まつりの山車の格納庫を津波避難施設とする提案。神社の木々をイメージした格納庫は、構造体と一体の杭を強固な地盤まで打つことで、津波による流出を防ぐ一方、壊れやすいガラスを壁面に採用することで津波の力を受け流す。
 平時は公民館機能や観覧席としての利用を想定。地域の伝統的な祭りと、防災を絡めて災害の記憶や避難行動を伝承させる取り組みが、全国に応用可能な手法として高く評価された。
 最優秀以外の入選作品は、次のとおり(カッコ内は所属、敬称略)。
 〈優秀賞〉
 ▽山際の作法~一歩進んで二歩下がる=浅井淳平、有田昌弘、山崎明日香、宮坂知成(東大、同大学院)。
 〈佳作〉
 ▽はぐくむ丘、ゆわえるまち--縮小の時代における津波防災まちづくり=八尾修司、大川雄三、畠中達亮(京大大学院)▽防火壁に息づく日常=内田和也(千葉大大学院)▽まちの間伐featuring“Re・Bone"=岩本一将、大井晴奈、石田大貴、川口直秀、長谷川真穂、鈴木希、渡邉光太(岐阜大、同大学院)。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)


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