2013/12/04

【建築】コンピューテイショナルデザインでパビリオン 東大の隈研吾ラボ

建築家の隈研吾氏、小渕祐介氏らが運営する東京大学建築学専攻デジタルファブリケーションラボ(DFL)と大林組は、産学共同プロジェクトとして、コンピューティショナル・デザインを利用したパビリオンを東京都文京区の東京大学工学部一号館前広場に設置した=写真。デジタルツールの使用は少人数・短時間による建設が可能になるため、災害時など緊急性の高い事態や労働人口減少の対応などに活用も期待される。7日まで自由に見学できる。

 パビリオンの規模は長辺9m、高さ4m。厚さ2mmのステンレス製の板が互いに支え合うドーム構造だ。一つひとつの部材はロボットアームにより溶接して生産し、それぞれがワイヤーでつなぎ止められている。
 プロジェクトにかかわった大林組の丹羽俊介設計本部建築設計部副課長は「いまの学生はデジタルツールに慣れ親しむことで、デザインの考え方、作り方が変わってきた。つくる側もデジタルツールの発展に対応する必要がある」と指摘する。
 施工の際にはデジタルツールの活用に徹底的にこだわった。効率的な吊上ポイント数・位置は事前にシミュレーションを繰り返したほか、タブレット端末による拡張現実(AR)技術を試験的に導入。2次元の展開状態で組み上げた部材をクレーンで吊り上げて3次元化する際には、カメラから取り込んだ画像にデジタルモデルをリアルタイムで重ね合わせ、施工精度を高めた。また、設計・部材生産・施工のデータを一元的に管理することで生産性も大きく向上させてスピード感と合理性も実現、「デジタルとリアルの間が近づいてきている」と丹羽氏は語る。
 今回のプロジェクトで設計を担当した木内俊克氏(東大)はデジタルツール使用について「モダニズム的にデザインを点でとらえてデザインを決めるのではなく、緩やかに幅を持って設計する手法もあるのだと改めて認識できた」と述べ、デジタルツールにより生まれる新たなデザインに期待を込めた。
 一方、部材生産にかかわった竹中司氏(アンズスタジオ)は「デジタルツールは人間の頭だけでは考えられないデザインを生み出すが、それは生産が難しいデザインということでもある」と指摘し、これからの建築は従来型の大量生産ではなく「少量多品種生産のためのデジタルファブリケーションが重要になる」と分析した。
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