2016/06/12

【E&E会議inプラハ】偉大な道路資産への投資テーマ 日本から2団体が調査団派遣<1>


 6回目を迎えたアスファルト道路に関する国際会議「E&E会議」が、チェコ・プラハで1-3日に開かれ、「我々の偉大な資産(道路)への投資」をテーマに、技術的側面から道路施設への資金調達のあり方まで幅広い分野で論文発表などが行われた。オープニングセッションでは「アスファルト舗装業界がこれまで培ってきた巨大な情報と専門知識自体が重要な資産である」という認識の下、道路網の効率的保全とともに、資産を有効に生かし続けるバックボーンとして必要不可欠な「確実な研究開発」の重要性が強調され、3日間にわたる会議の幕が開かれた。写真はあいさつするラーセンEAPA会長

 E&E会議は、施工会社を中心とする欧州アスファルト舗装協会(EAPA)と製品メーカー主体の欧州アスファルト協会(Eurobitume)が1996年から共催し、4年ごとにオリンピックイヤーと同じ年に開かれている。今回のテーマである「資産への投資」には2つの意味が込められている。1つは道路そのものへの投資、もう1つは道路づくりを支える技術開発への投資だ。
 オープニングセッションでEAPAのジョン・ラーセン会長は「アスファルトは道路メンテナンスのべストプロダクツであり、そのアドバンテージを広くPRしていきたい」と述べ、資産の効率的な保全が社会と経済の発展に重要であることを訴えた。
 プラハ会議センターで開かれた会議には欧州を始め、北米や南米、オセアニア、アジア、アフリカなど、約50カ国から800人以上の舗装実務者が参加した。企業や団体による約60の展示ブース関係者などを含めた参加者は計1000人を超えた。
 日本からは、日本道路建設業協会と日本アスファルト合材協会が、会員企業の社員ら17人で構成する調査団を派遣した。日本調査団は第2回会議から派遣されており、今回が5回目の参加となる。
 出発前に成田空港で開かれた結団式で井口久美団長(日本道路執行役員生産技術本部副本部長兼生産企画部長)は、「アスファルト混合物の性状・試験、バインダー、中温化、リサイクルなどセッションは多岐にわたる。有用な技術論文を聞いて知見を広げていきたい」とあいさつした。

会場となったプラハ会議センター

 会議には247の論文が提出され、▽バインダーの性状と試験▽中温化混合物▽維持と管理▽リサイクリング--など13のセッションが、大ホールと小ホールで開かれた。調査団はそれぞれに割り振られたセッションに乗り込み、アスファルト舗装の最新情報を吸収した。中にはワークショップ形式のセッションもあり、各国の参加者と直に交流し、生の声を聞くことができるという機会にも恵まれた。
 会場では団員の一人が、23年前に自社に研修生として在籍していたチェコ人に再会するといううれしいハプニングもあった。いまは地元の大学で道路建設関係を教えているというチェコ人に、「 プラハに行くことをメールしておいたが、まさか本当に会えるとは思っていなかった」と約四半世紀ぶりの再会を楽しんだ。
 プラハは戦争による被害が少なく、ヨーロッパでも中世の街並みを最も色濃く残す街の1つと言われている。6月の日の入り時刻は遅く、午後9時を回っても空はうっすらと明るい。初日の会議後、昼間のような明るさの午後7時からヴルタヴァ川に浮かぶスロヴァンスキー島にあるジョフィン宮殿に会場を移して会議参加者による夕食会が開かれた。
 ヨーロッパの習慣なのか、夕食会は午後11時までと長い。日本調査団はグラスを片手に各国の参加者と交流を深め、酒量もそこそこに会期中最多の6セッションが集中する2日目に備えて英気を養った。
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