2016/06/25

【E&E会議inプラハ】リサイクルがテーマの2日目 日本が世界トップレベルの再生材使用国として例に<3>


 会議2日目には、リサイクルをテーマとしたセッションが開かれた。欧州ではCO2排出量削減やLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点から、アスファルト再生材の有効利用が注目を集めているが、行政側の技術進展に対する認識不足などが大きなネックとなり、再生材の活用は進んでいない状況にある。

 一方、日本では、ほぼすべてのアスファルト舗装がリサイクルされ、欧州に大きく水をあけている。国土交通省の建設副産物実態調査結果によると、アスファルト・コンクリート塊の再資源化率は2005年度の調査時点で既に98.6%に達し、08年度には98.4%と微減したものの、12年度には99.5%を達成している。
 損傷したり古くなったりしたアスファルト舗装は撤去後、アスファルトプラントに運ばれ、破砕機で大きさを整えてから再生骨材として再利用される。アスファルト混合物がグリーン調達品目になっていることから、地方自治体にもリサイクルの考えが浸透しており、再生アスファルト混合物は日本の道路舗装で広く採用されている。
 セッションでは、欧州でアスファルト再生材の活用が進まない主な要因として、リサイクル材の技術進展に対する行政の認識不足と業界のPR不足などが挙げられた。世界トップレベルの再生材使用国として日本の取り組みが例示される一幕もあり、今後、欧州でのリサイクルの進展に、日本の技術が貢献できる場面が出てきそうだ。

日本調査団もブースをつぶさに回った

 3日間にわたる会議期間中は、各セッションのほか約60の企業・団体による製品や技術の展示も行われた。セッションのメーン会場となった大ホールの外側に設置された色とりどりのブースでは、約170人の展示関係者が自社製品や技術などをアピールし、日本調査団も熱心にヒアリングしていた。展示ブースの中で、ある団員が注目していたのはデンマークの企業が出展していた、改質アスファルトの移動式プラントだ。日本ではアスファルト合材プラントが全国をほぼ網羅しているため、改質アスファルト合材はどこの現場でも一定の時間内にプラントから運ぶことができる。
 一方、合材プラントの整備が進んでいない新興国などでは、日本と同じように容易に改質アスファルト合材を入手することが難しいため、「海外の大規模現場などで威力を発揮する」と関心を寄せていた。改質アスファルトのプラントと合材プラントを現場に併設すれば、大型ローリーで改質アスファルトだけを運んでくる必要もなくなり、材料ロスが少なくて済むなどのメリットが見込まれる。
 会議会場のプラハ会議センターは、調査団が宿泊する旧市街地近くのホテルから地下鉄で2つ目の駅のそばにある。プラハ市内には地下鉄がA線、B線、C線と3本走っている。ホテルから最寄りの駅を利用した場合、1回乗り換える必要があるため、団員の多くは乗り換えなしで会場に行けるC線の駅まで5分ほど歩いて乗車するコースを選んだ。
 地下鉄には自動改札機のような設備はなく、駅員に提示を求められた場合にだけ乗車券を提示する。無銭乗車が発覚した場合に罰金が科されるという仕組みだ。団員は複数日有効な乗車券を携帯していたが、提示を求められた者はいなかったようだ。
 会場まではホテルからドア・ツー・ドアで20分程度。1日目は団体行動で会場に向かったが、2日目、3日目は担当セッションの開始、終了時刻に合わせて、各自がそれぞれホテルと会場を往復した。最も早いセッションは午前9時開始のため、担当者は時差ボケにもめげずに早い朝食をとり、石畳を踏みしめながら駅に向かう。会議も2日目を迎え、調査団員も幾分か環境に慣れ始めてきた。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

Related Posts:

  • 【新潟建産連】白山神社の伝統儀式「工始祭(たくみはじめさい)」 安全と隆盛祈願  新潟県建設産業団体連合会(本間達郎会長)は12日、新潟市中央区の白山神社で、全国でも珍しい「工始祭(たくみはじめさい)」を行った=写真。古式ゆかしい装束をまとった工匠たちが釿(ちょうな)など古来の用具を使い、伝統的な儀式を神前で披露した後、各団体の代表らが玉ぐしをささげ、ことし1年の安全と業界の隆盛を祈願した。  拝殿中央には御木が設えられ、新潟市建築組合連合会の8人の工匠が曲尺、墨指、釿の「三器」などの古来の用具を伝統的作法で扱い、鋸… Read More
  • 【京都建築賞】第4回募集要項を公表 「藤井厚二賞」新設 2/15から受付  京都府建築士会(衛藤照夫会長)は、4回目となる「京都建築賞」の募集要項を公表した。ことしは特定のテーマに基づく「藤井厚二賞」部門を新設。藤井厚二の建築に向き合う姿勢にふさわしい、意欲あふれる建築作品を募る。応募は2月15日から29日まで同会の同賞事務局で受け付ける。各部門ともに書類審査を通過した10作品以内の中から最優秀賞候補3点を選出し、現地審査により最優秀賞と優秀賞を決める。審査結果を5月に公表し、6月に表彰式を行う。写真は前回の最… Read More
  • 【日本建築設計学会】「西原の壁」など入賞6作品を公表! 大賞は4/5に選定  日本建築設計学会(竹山聖会長)は、2015年度日本建築設計学会賞の入賞6作品を公表した。4月5日に大阪市北区のASJ梅田セルで公開審査を開き、大賞1作品を選定する。表彰式は5月の総会で行う。  入賞作品の設計者には作品展の開催、大賞受賞者には作品集出版の特典が与えられる。選考委員は竹山会長と古谷誠章早大教授、五十嵐太郎東北大大学院教授、倉方俊輔大阪市大准教授の4人が務める。 入賞作品と設計者は次のとおり(敬称略)。 ▽西原の壁(東京都渋… Read More
  • 【関東甲信大雪】各地で懸命の除雪作業 関東地整も早期対応  18日未明から広範囲で雪が降り、各地で大雪となった関東甲信地域。国土交通省関東地方整備局は17日、集中・効率的に除雪作業を実施するため、「通行止め予定区間」をあらかじめ設定するなど、大雪に備えた。高崎河川国道事務所管内では18日、緊急車両の通行を確保するため、災害対策基本法に基づき、国道18号の群馬県高崎市並榎町~長野県軽井沢町軽井沢を区間指定し、必要に応じて車両移動などを実施。道路情報については、同事務所のインターネットホームページの… Read More
  • 【担い手】埼玉建協とものつくり大が意見交換 学生を交え、取り組みを議論  埼玉県建設業協会(真下恵司会長)と、ものつくり大学(稲永忍学長)は19日、埼玉県行田市の同大学で2015年に引き続き意見交換会を開いた=写真。学生を交えての意見交換は今回が初めて。埼玉県の関連部局職員や県内工業高校関係者、埼玉県電業協会役員らも参加した。大学が就職の動向、協会が業界の現状と処遇改善の取り組みなどを説明した。建協会員の古郡建設と島村工業が工事事例を紹介した。「より魅力ある建設産業にするためには」をテーマにそれぞれの立場から… Read More

0 コメント :

コメントを投稿