2016/06/22

【鬼怒川】住民30人が若宮戸築堤工事現場を見学 鋼矢板に安全祈るメッセージ書き込む


 関東地方整備局下館河川事務所は19日、2015年9月の関東・東北豪雨災害に伴う鬼怒川緊急対策プロジェクトの一環として、茨城県常総市で進めている若宮戸築堤工事の住民見学会を開いた。

 若宮戸地区では、関東・東北豪雨による自然堤防からの溢水で大きな被害を受けたため、鬼怒川下流域(茨城県区間)の治水対策として新たに堤防を構築している。堤防の総延長は940mで、下流側の若宮戸築堤その1工事(長さ492m)は渡辺建設(石戸一博現場代理人)、上流側の同その2工事(同447m)は松浦建設(柏木健現場代理人)が施工している。
 8月末までの1期工事は高さ約3.2m、天端幅14.5mの堤防を構築。9-11.5mの砂層部分には鋼矢板と笠コンクリートなどで再度災害の防止を図る。沈下状況などを確認した上で実施する2期工事では、さらに1.6mの盛土を行い、最終的には高さ4.8m、天端幅6mとなる。ことし3月下旬から伐採・除根工事に着手し、築堤はおおむね完了。鋼矢板の打設を進めている。進捗率は7-8割程度となっている。
 現場ではMC(マシン・コントロール)などの情報化施工を積極的に導入している。鋼矢板は従来製品の2倍以上となる幅90cmの「ハット型」を採用し、施工効率を高めている。笠コンクリートには工場製作したプレキャスト・コンクリートを使用するなど、さまざまな工夫で工期短縮に取り組んでいる。監督員が3時間ごとに現場を巡回するなど即応体制を整えており、発注者と受注者が協力しながら、台風の到来時期を前に地域住民の安全・安心を確保しようと日々奮闘している。
 見学会には周辺住民や地権者など約30人が参加した。堤防の上から幅や高さを確認するとともに、鋼矢板の打設状況などを見て回った。見学会の最後には鋼矢板に「災害が2度と起こらないように」「地の安全、民の安心」など地域の安全・安心を願うメッセージを書き込んだ。
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