2015/10/31

【建築】北海道の歴史息づく道立文書館別館 安藤忠雄氏の基本デザインで「北菓楼」本店に改修


 北海道内に8店舗を展開する菓子店「北菓楼」の堀製菓(砂川市、堀安規良社長)は、札幌市中央区で札幌本館の建設を進めている。歴史的建造物の北海道立文書館別館の外壁と階段室を補強・保存しつつ、店舗とカフェを増築する。保存、改修方針を含む設計・施工は竹中工務店が担当。安藤忠雄氏が基本デザインを行った。2016年3月下旬のオープンを目指している。

 札幌本館は、レンガ造4階一部5階建て延べ約1200㎡の「北海道立文書館別館」を補強・保存し、札幌で同社初の路面店として建て替える。
 規模はRC一部S造地下1階地上4階建て延べ1350㎡。1926年に北海道庁立図書館として建設し、のちに北海道立美術館、北海道立三岸好太郎美術館を経て87年に北海道立文書館別館に改修したもので、88年にさっぽろふるさと文化百選に選出され、今も北海道の歴史が息づく建物だ。

大正時代のデザインのまま保存される玄関ホール

 新店舗は3階まで吹き抜けの大空間となり、開放的なイメージを演出している。柔らかに架けられたクロスヴォールトの天井の下にカフェの床が宙に浮かび、カフェの壁は旧道庁立図書館のたたずまいを継承し、全面が北海道の歴史本やお菓子の本で埋め尽くされる本棚となる。壁は建設当時からのレンガがそのまま残される。
 安藤忠雄氏が北海道内のプロジェクトに携わるのは88年にトマムで設計した水の教会など以来となる。札幌本館は1階がショップ、2階が吹き抜けの多目的スペースとなる。歴史と現代が共存し、コンサートやイベントも開催できる「サロン」が来年の春に誕生。「建物の歴史に敬意を払い未来へつながる空間」を提供する。

地下1階、地上4階の店舗、カフェを増築

 同工事は2014年12月から15年6月まで既存建物の解体工事と外壁補強を行い、7月から本体工事に着手した。16年3月の完成を目指している。
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