富山県射水市で佐藤工業・牧田組・高田建設JVが、「(仮称)射水市庁舎新築(建築主体)工事」を進めている。防災機能や省エネ性能を高めた新庁舎で、災害対策拠点としての機能も併せ持つ。現場では、施工の効率化に向けた創意工夫も織り込みながら工事を進めている。躯体工事などが進む現場を訪れ、佐藤工業JVの金谷敏哉所長に話を聞いた。
基礎免震構造を採用する新庁舎の規模は、SRC造6階建て延べ1万0452㎡。隣接してS造2階建て延べ4898㎡の立体駐車場も整備する。高い防災機能が特徴で、耐震性能は最高水準の「I類」で計画している。このほか、外構部分を含めて地盤改良して液状化を防ぐほか、浸水対策として機械室などを最上階に配置する。建物運用段階での省エネ性にも配慮し、建物中心部には採光と通風を担う吹き抜け「エコボイド」を設ける。設計・監理は佐藤総合計画が担当している。
躯体工事が進む現場。左奥は建物中心の吹き抜け |
工事の進捗率は9月末時点で約40%。現在、既に鉄骨が立ち上がり、躯体の鉄筋や型枠などの作業を進めている段階だ。工期は2016年8月までの24カ月で、現場では施工の効率化に向けてさまざまな知恵を絞っている。
その1つが、スラブデッキの施工だ。S造建築であれば鉄骨建方後にデッキを敷くことができるものの、この庁舎のようにSRC造の場合は、鉄骨の後、さらに型枠工程を待ってからのデッキ張りが一般的だ。しかし、この現場では「鉄骨梁にデッキの受けチャンネルを設置し、先行的にデッキを敷いている」(金谷所長)。
鉄骨梁(右)に受けを設置してデッキを先行敷きした |
この取り組みによって、1カ月半から2カ月程度の工期短縮につながるという。開口部が減るため、落下防止などの安全対策にも一役買っている。このほか、先行張りしたデッキによって作業床を確保できるメリットもある。金谷所長は、「現場でのちょっとした工夫だが、効果は意外と大きい」と笑みをこぼす。
環境配慮型の庁舎を建設するため、施工段階でも環境対策を徹底し、廃棄物やCO2、汚泥などの排出削減に取り組んでいる。一方、敷地の一部には高圧線が横切っているため、通常の現場とは異なる緊張感と安全対策も求められる。
金谷所長は、「市民の皆さんから注目を集めている建物であり、見学者も多く訪れる。労働災害ゼロは当然のことだが、職員、協力会社も含めてみな笑顔で、現場をきれいにして工事を進めていきたい」と話している。
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