森トラストは1日、東京都港区で開発を進めている「虎ノ門トラストシティワールドゲート」に関連して、敷地内にある樹齢100年を超える大クスノキの移植工事現場を報道陣に公開した。江戸時代から続く伝統技術の「立曳(たてび)き工法」を採用し、大木を立てた状態でレールの上をスライドさせていく。
地域のシンボルでもあった高さ18m、重さ50tを超える大クスノキが、計画地内の地区幹線道路予定地に立地しているため保存・移植を決めた。開発に伴い新たに整備する約3000㎡の緑地「(仮称)葺城(ふきしろ)の森」の新たなシンボルとして位置付ける。
移植に向けて5月から準備工事に着手し、1日から10日前後で移植工事を行う計画。伝統技術の立曳き工法は、大径樹木のダメージを最小限に抑えながら、安全に移植する工法で、樹木を横に倒さず、鉢底の地表面と水平に溝を掘り、そのままスライドさせて樹木を移動させる。
まず、根の範囲を掘削して根鉢周りを鋼材で補強。その後、進行方向に枕木を並べ、レールを設置して樹木をスライドする。今回の移動距離は19mだが、水平移動だけでなくジャッキを使って約3m下に垂直移動も行う。同工法での垂直移動は珍しいという。
国家戦略特別区域認定事業である虎ノ門トラストシティワールドゲートは、事務所やホテル、サービスアパートメントなどが入る複合開発で、規模は地下4階地上36階建て延べ約21万㎡。現在、既存建物残置躯体などの撤去工事を清水建設が進めている。本体工事の施工者は未定。工期は2019年度までを予定している。
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