2016/06/05

【建築】寺院における居住空間と真摯に向き合う 島田義信建築設計事務所の「慈光庵」


 島田義信建築設計事務所(埼玉県熊谷市)の島田代表は、「慈光庵」で2014年第2回埼玉建築文化賞の優秀賞を受賞した。慈光庵は、庫裡(くり)と呼ばれるお寺の住職の住宅だ。出身地である同市に建てられたこの住宅では、内と外の関係と真摯に向き合い、庫裡がどうあるべきかを模索した。(撮影:石田篤写真事務所)

 設計の際は自然とのつながりをコンセプトに設定した。ポイントとなるダイニングを工夫し、大きめの窓を用いた。窓は視線を外と合わせるために、テーブルの高さと腰壁の高さをそろえた。座ったときに庭から自然をできるだけ得られるようにデザインした。
 屋根は方形造りを採用。設計を重ねる中で、あえて天井を張らずに組み方を見せることに決めた。大きな屋根の下でひろがりを持った空間が生まれた。配置計画では、さまざまな形やボリュームなどの検討に重点を置いた。大きなボリュームとして1つを配置するのでなく、小さいボリュームを連ねるように正方形を2つ配置。隣り合う寺院との景観を考慮した。「街並みの中で、建築がどうあるべきかも重要だ」と周辺環境との調和も重視する。
 島田氏は埼玉県建築士会大里支部の青年委員長を務め、社会的な役割も担う。独立3年目の若手建築家は出身地である熊谷市の街の発展を支える。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿