三菱重工業は、油圧による動力伝達機構を採用した大型風力発電設備を開発し、横浜製作所(横浜市)で試験運転を始めた。風車を大型化する際に支障となる増速機や電力変換装置が不要で、故障しにくくメンテナンスはしやすくなる。引き続き7メガワット級の大型機開発を進め、ことし英国で陸上実証機、2014年に福島沖で洋上浮体式実証機の試運転を経て15年の市場投入を目指す。
油圧ドライブ方式の風力発電設備は、ブレードの回転エネルギーを油圧ポンプで高圧油に変換し、さらに油圧モーターで発電機を回して電気エネルギーに変換する。油圧をデジタル制御することで、効率的な発電が可能になる。
従来のギア式やダイレクトドライブ式では、コストや技術、原材料調達面で風車の大型化は難しかったが、油圧ドライブ方式であれば7-10メガワットの大型化が実現できる。
小型部品を組み合わせるため、部品の交換がしやすく保守性が向上するとともに、主要部に一般材料を採用することで材料調達を容易にした。
油圧ドライブ方式は、ベースとなる油圧デジタル制御技術を持つ英国ベンチャー企業・アルテミス社と共同開発した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けている。
横浜製作所に設置した油圧式風車は、出力1.5メガワットで1月から試運転を始めた。ことし秋には英国で7メガワットの陸上風車、14年には福島沖で同規模の洋上風車の実証試験をスタートする。
同社の風力発電設備は、本体の機構だけでなくブレードもガラス繊維にカーボン繊維を加えて強化・軽量化を図るなど、大型化に向けて開発が進んでいる。ドイツで製作中の7メガワット級のブレードの長さは81.6mにもなる。
洋上風力発電に適した欧州をターゲットに15年の市場投入を目指す。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年1月25日 3面
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