一番高炉石組は、36個の積石によって構成された石造構造物。外周は5.5m四方、高さは2.7m。1860年ごろに建設され、明治初期に廃炉となってからは経年劣化などで激しく損耗し、東日本大震災では積石の欠け、剥離やずれ、落下など大きな損傷を受けていた。
鴻池組は、その修復業務を受託し、同社がこれまでにさまざまな文化財の保存・修復の実績を通じて培った技術を導入、釜石市や石工と協議しながら慎重に作業を進めてきた。
石組周辺に埋没する遺構を傷めないよう鉄板で養生するとともに重機足場を作成。解体前調査として、測量と写真測量を行って完成図・3次元図形の基礎データを取得した。
続いて1段目の積石を残して解体し、積石の洗浄を経て、損傷度合いを見極めながら樹脂の注入、接着、擬岩処理などを実施。表面風化を防止するため、基質強化剤と撥水剤も塗布した。
建立当初の状態を再現すべく慎重に組み立てた後=写真、解体前と同様に測量と写真測量によって基礎データを取得し、修復前後の石組をあらゆる方向から俯瞰(ふかん)できる3次元データを作成した。
工期は2012年8月27日から12月29日までの約4カ月間。
橋野高炉跡は国内に現存する日本最古の洋式高炉跡。非常に価値の高い文化財として評価されており、この遺産を含む産業遺産群はユネスコ世界文化遺産への登録を目指している。
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