現場で活躍する「Ein Bandドリル」 |
◇これまでにない精度管理
開発を担当した菅浩一技術本部技術開発グループ部長は「グラウンドアンカーは1本当たり約80mの長さを施工する。障害物を想定して先端部ハンマーなど数種のビットを準備したが、現在は標準的なタイプを使用している。手前にある既設岸壁の堅固な捨石マウント層約20mを削孔すること、また、隣接した民地建物の基礎杭を避けるよう、これまでにない精度管理や姿勢制御が要求されている」と話し、貫入作業が着実に進行している状況を解説した。
◇四日市港で打込み
工事は、四日市港管理組合が発注した平成23年度四日市地区15号岸壁(マイナス10m)耐震強化岸壁整備工事(その3)(受注者=高砂建設・松岡建設JV)で実施されているグラウンドアンカー工。鋼管矢板(径1600mm、深さ34m)に45度の角度でPC鋼線テンドンタイプのアンカーを定着させる。当日は9本目を施工中で、岸壁前面の構台上でEin Bandドリルが駆動していた。
心臓部のドリフターは、ドイツ製で全体のシステムは東亜利根ボーリング塩山工場が製作。基本性能を、従来の機種に比べ、トルクが約3倍(1m当たり24キロニュートン)、フィード力も2.5倍(180キロニュートン)と大幅にアップさせ、削孔能力、スピード、精度ともに飛躍的に向上した。同社では「阪神・淡路大震災後の岸壁耐震補強工事(尼崎)に困難を極めたのがきっかけで、開発が始められた。ビットの改良、鋼管の肉厚化などにより、捨石層や転石などの困難な条件下でも施工できる能力を目指した。いまのところ、水平精度も500分の1以上で、期待どおりの成果を確認している。
今後は、多様な削孔角度や削孔長(100m以上)に対応することを実証していきたい」(森末潤一作業所長)として、復旧・復興工事を始め、営業対象をダムの耐震補強や地下構造物、地熱利用技術工事などに拡大していく。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年1月11日3面
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