杭打ち機やクレーンが立ち並ぶ現場 |
◇複雑な構造
外環千葉区間は、高速道路と国道の両方が整備される。現場北側の国分工事区間から、高速道路部は地下を、国道部は高速道路上部の地上に構築される。南下するに従い、高速道路は深度を増し、真間川、京成本線、国道14号、JR総武線を地下で横断する。一方で国道部は真間川をオーバーパスし、その後、地下構造へと移行し、京成本線を超えてから国道14号とは連結路を介して接続する。
「この工区は、躯体断面の変化が激しい上に、土被り6mのところで高さ約18mという巨大な躯体を構築する部分もある」と藤田工事長は、函体構築の困難さを話す。
特に国道部は、線形が大きく上下するうえ、国道14号との連結路付近では国道が分岐・合流する。蓋掛部と掘割部がめまぐるしく入れ替わり、函体構造は2層4連と複雑な組み合わせだ。
オーバーブリッジは時速10キロ制限 |
◇1キロ超える工事専用高架橋
「オーバーブリッジ」と呼ばれる工事専用高架橋も、特徴の一つだ。土工量95万m3、コンクリート工事21万m3という物量を移動するためには、多くの工事用車両が必要だ。一般の交通への影響を最小限に抑えるべく、約1㎞もの長さの橋を建設した。最盛期には他工区もあわせて1日約1000台の大型ダンプが相互通行する高架橋を、国道、市道、京成本線と立体交差させている。
「橋の高さは最高13m。橋が近隣の日照を阻害する懸念があるため、特殊な屈折型透光板を設置して日陰が少なくなるよう手当てをしたり、工事用車両の速度を時速10㎞に制限し、騒音や振動など工事中の環境面に配慮した対策を施している」(社本所長)。また約5年に及ぶ工期中、橋のさびを防止するための防食塗装も施した。
近隣への影響を少しでも減らすために、地盤改良の施工時に改良材の飛散防止効果に優れたテフロン加工を施した特殊な材料を採用するなど徹底した対策に余念がない。「やれることは全部やっていく」(同)のが現場の一貫した考え方だ。
◇市街地新規路線のジレンマ
市川中工事では、工事開始にあたって約2000戸もの住宅移転を行った。単に住宅を移転するといっても、そこには水道、ガス、電気、下水などの生活インフラが網目のように敷かれている。
「生活インフラは、移転するから止めるというものでなく、移転しない住宅への供給が遮断されないよう十分に注意を払い施工しなければならない」(藤田工事長)。
既存の市道や私道、幹線道路に埋設されているインフラを一つひとつ確認し、表皮をはぎ取るように少しずつ確実に作業を進めた。既存の市街地に、大規模道路を新設するには独特の苦労がある。
今春には函体コンクリート向けの専用プラントが完成する。夏ごろには函体の底版コンクリート打設も始まる。現在の工事進捗は2割を超えたところだが、これからも着実に外環千葉区間建設が進んでいる。
▽工事名=東京外環自動車道市川中工事▽工期=2010年11月30日から15年11月3日(1800日)▽施工者=鹿島・大林・鉄建外環市川中工事JV
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年1月16日12面
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