2013/01/15

【連載】渋滞克服に挑む! 契約から完成までわずか1年!「新小岩陸橋」

渋滞解消の切り札となった「新小岩陸橋」
慢性的な交通渋滞の緩和を目的に、2006年に東京都建設局が土木工事で初めて設計・施工の一括発注を導入した「たつみ橋交差点立体化事業(新小岩陸橋)」。契約から完成までわずか1年。実際に現場に入ってから交通開放まで6カ月という驚異的なスピードで立体化を実現した。技術提案型総合評価方式の採用で民間の技術力を最大限に生かしきったと誰もが認める成功例の一つだ。それは、首都・東京における最大の弱点とも言える「渋滞克服への挑戦」でもあった。

◇初のデザインビルド

 新小岩陸橋は、葛飾区西新小岩1丁目から東新小岩1丁目までの延長818m(橋梁部557m)。都の土木工事で初めて「設計・施工一括発注による技術提案型総合評価方式」を採用した。
 工事場所となった「たつみ橋交差点」は当時、都内でワースト5に入る渋滞個所。蔵前橋通りと平和橋通りが交差する、このポイントは朝は千葉県方向から都心に、夕方は都心から千葉県方向に交通が集中するボトルネックになっていた。
 交差する2つの通りは既に都市計画道路として完成済み。沿道にはビルが立ち並んでいたため、沿道の用地を買収して交差点を改良する手法は取れなかった。
 当時、建設局第五建設事務所工事課で設計部門を担当していた新井田功第六建設事務所工事課工務係長(課長補佐)は「交差点での車の流れを調査した結果、地域的な性質として都心方向へ向かう車の量が突出していた。また、調査結果だけをみれば、この交差点で南北へ向かう(蔵前橋通りから平和橋通りへ入る)車は決して多くなかった。逆に言えば、それは通過する車が多いということ。通過交通をさばくことができれば渋滞を緩和できるとの判断に至った」と振り返る。

◇選択された立体交差化

 都が渋滞解消の手段として選んだのは現道の中における立体交差だった。
 ただ、交差する2つの道路が都市計画道路として既に完成していたことがネックになった。一般的な立体交差の手法を考えれば、「現道の4車線をそのまま立体化するのが普通だが、車が脇道へ抜けることができる構造にするには6車線分の幅が必要になる。それには幅員が足りない」
 2車線だけを立体化--。通過交通が多いなら、2車線だけでも立体化して通過させれば効果はあるはず。渋滞解消へ、早期に効果を発現させなければならない中で、さまざまな検討を重ねた中から導き出した答えだった。
 都は渋滞解消の手法として2車線の立体化を決めた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年1月15日4面

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