2013/02/19

【書籍】『Architecture.Possible here?“Home―for―All” ここに、建築は、可能か』



 個性もキャリアも設計作法も異なる若手建築家、乾久美子、藤本壮介、平田晃久の3氏が伊東豊雄氏の呼び掛けで集まり、設計した岩手県陸前高田市の「みんなの家」。第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展では金獅子賞を受賞するなど、世界的な評価を得た。

 「建築とは何のためにつくるのか」「建築とは誰のものか」「建築家とは何者なのか」という根源的な伊東氏の問い掛けに悪戦苦闘しながらスタディーを重ね、一つの建築にまとめ上げていくまでのプロセスと被災地の状況を、建築家4人とともに同ビエンナーレに参加した写真家の畠山直哉氏の写真と図面、対談で紹介する。
 伊東氏の問いに対する3人の建築家の戸惑い方、解釈や回答の導き出し方は三人三様ながらも、現地を訪れ、地元の人と話をしたことをきっかけに一つにまとめられていく過程が非常に刺激的だ。また、竣工した建物に対する評価にも各人違いがあるのもおもしろい。
 同時に、復興事業はどうあるべきなのか、「近代」の手法は本当に有効なのかということを考えさせられる1冊でもある。
 2310円(TOTO出版)。

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