鹿島が千葉県銚子沖約3㎞の海上に建設を進めていた日本初の着床式洋上風力発電設備が完成した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東京電力などの実証研究事業で、鹿島は観測タワーと洋上風車の建設、風車基礎の研究開発を担っている。今後約2年間、風の向きや強さと発電量の関係などの調査が進められ、鹿島は厳しい環境下で培った建設ノウハウを洋上風力発電事業に役立てていく。
ナセルの取り付け作業 |
構造は、陸上で製作した基礎を建設地点まで輸送するため、中詰材を後施工できるケーソンタイプの重力式コンクリート基礎とし、形状は大きな波力が作用する海面付近をできる限り細くした三角フラスコ型を採用した。
ケーソン外壁は、軽量化とひび割れ対策のため、PC(プレストレストコンクリート)壁構造とし、PC鋼材の配置には、PC卵形消化槽のらせん状配置技術を応用。基礎底面には摩擦を増大させるアスファルトマットを取り付けて安定性を確保している。
基礎の運搬・据え付けに当たっては、既存の船では国内最大級の1600t吊り全旋回起重機船を使い、その船体中央の舷側に櫓を艤装(ぎそう)し、浮力を利用した半潜水式で重量2400tのケーソンを運搬、据え付けた。その後、ケーソンの中詰め材として比重の大きな銅水砕スラグを投入し、トータル5400tの重力式基礎が完成した。
一方、風車の設置には、大型建設用作業船(SEP)2隻を使用し、すべての部材をSEPに積み込み、銚子沖にえい航して組み立てた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年2月28日
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