左から朝~昼~夕方を光色調整 |
戸田建設、村田製作所、ウシオライティング(本社・東京都中央区、吉川隆雅社長)の3社は、LED(発光ダイオード)の光で疑似的な昼夜変化を入院患者に与える次世代病院向けの照明システムを共同開発し、実証実験を開始した。単調な入院生活で弱りがちな生体リズム(サーカディアンリズム)を維持し、生活サイクルを安定化させることで、人間が本来持つ治癒力を高めるのが狙い。戸田建設では、病院受注に向けた他社との差別化技術として、設計施工案件やリニューアル案件で積極的に提案していく。
この「スマートホスピタルライティングシステム」は、村田製作所が持つ無線通信技術と、ウシオライティングの色温度にフォーカスした光色制御技術などを導入し、日の出(朝)、日中(午前、午後)、日没(夕方)、夜間(就寝前)、深夜(消灯)の5パターンのサーカディアンリズムを多彩な色で再現する。
電池なしで信号を送信できる電池レス無線スイッチと、短距離無線通信規格「ZigBee(ジグビー)」による照明制御技術の組み合わせで、患者から離れた場所からでも照明を制御可能で、配線が不要なため、工期短縮や配線工事費の低減にもつながる。
戸田建設本社ビル(東京都中央区)と小松村田製作所(石川県小松市)での実証実験を経て、埼玉、千葉県内の各病院に今夏以降の導入が決定済み。光環境の検証に当たっては、望月悦子千葉工大准教授がアドバイザーを務め、最適なサーカディアンリズムを検証していく。
戸田建設の売上高約5000億円のうち、3割前後を医療・福祉関連施設が占め、売上高の25%までリニューアル工事を高める方針だ。その中で、同社は今回開発したシステムを次世代型病院「スマートホスピタル」のメニューに加え、3年後には1000台程度の導入を目指す。
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