2014/10/13

【砂防】ダンプ3400台分の土石流止めた!! 六甲山系の「十八丁第3堰堤」公開

近畿地方整備局は9日、8月の台風11号により六甲山系で起きた大規模な土石流を砂防堰堤「十八丁第3堰堤」(神戸市北区)がくい止めた現場を報道機関向けに公開した。堰堤が下流への流出を防いだ土砂量は、ダンプトラック約3400台分に当たる約1万7000m3。六甲砂防事務所の綾木基之副所長は「六甲山系には危険渓流でありながら現在も堰堤がない場所があり、重点的に整備を進めたい」と話している。
 8月8日から10日にかけて関西を襲った台風11号は、六甲山系の累積雨量が526mmに達した。ヘリコプターで確認したところ、斜面の崩落が約270カ所で発生した。このうち航空写真で確認できた面積1000㎡以上の崩落は、42カ所もあった。
 この中でも最大級の斜面崩落が生じたのが、十八丁第3堰堤付近だった。上流側の有料道路「芦有ドライブウェイ」の道路の一部が崩れ、今も通行止めが続いている。堰堤で止まった土砂は堤高よりも高く積み上がり、アスファルト舗装やガードレールなど芦有ドライブウェイの道路構造物も混ざっている。
 芦有ドライブウェイの道路付近から崩れた土砂は大規模な崩落を引き起こし、十八丁第3堰堤に土石流が流れ込んだ。十八丁第3堰堤は1975年に完成し、高さ15m、長さ51mの中規模な重力式コンクリート堰堤。今回の台風以前は5.5m程度が埋まっていたが、土石流によって残りの高さ9.5mも埋まった。堰堤は満砂となり、一部は下流に流れ出たが、土石流のほとんどを止めた。堰堤から集落まで1㎞以上離れており、下流にはさらに2つの堰堤があるため、人家への被害は全くなかった。
 堰堤に堆積した土砂は撤去すると上流側の浸食が進む危険性などもあり、搬出する計画はないという。
 六甲砂防事務所は戦前から砂防事業を進めており、これまで直轄事業として砂防堰堤を535基整備した。堰堤の高さは最大規模のもので30m。砂防堰堤は今回のように土石流を止めるほか、浸食を防ぐ役割も果たす。
 現在も4基を建設中だ。現状の整備率は58%。綾木副所長は「今回のように200カ所を超す崩落が起きたのは、阪神・淡路大震災以来の個所数となる。航空写真で見たところ、計5カ所は砂防堰堤によって明らかに土石流が止まった」としている。
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