2014/10/12

【バウハウス直系】日本真珠会館を知っていますか? JIA兵庫が保存要望

日本建築家協会近畿支部兵庫地域会(JIA兵庫、長尾健地域会長)と兵庫県建築設計監理協会(瀬戸本淳会長)は6日、神戸市中央区のフォアベルクホールで兵庫建築セミナー2014「日本真珠会館を知っていますか?」を開いた。会員ら約100人が参加し、神戸が誇る近代建築の知られざる価値に触れた。

 冒頭、長尾地域会長は「建て替えの計画などが上がっているが、その是非以前にこのビルのすばらしさを知ってもらいたいと思い企画した」とあいさつした。

光安義博氏
セミナーでは、日本真珠会館を設計した光安義光の子息である建築家の光安義博氏が設計意図について解説した。同会館は、神戸の真珠取引の拠点として兵庫県と日本真珠輸出組合が共同で建設、1952年に完成した。03年にDOCOMOMO日本支部の「日本のモダニズム建築100選」にリストアップ。05年には国の登録有形文化財指定も受けている。
 規模はRC造地下1階地上4階建て延べ1798㎡。光安義光は当時、兵庫県営繕課に所属しており、兵庫県庁や旧県立美術館の設計も手掛けている。光安義博氏は「阪神・淡路大震災を経験しているにもかかわらず大きなクラックも見受けられず、当時の施工技術のすばらしさを体現している。時間が経っても作品を愛してもらえる父は幸せ者だ」と語った。
 続いて、DOCOMOMO日本支部の設立にも携わった梅宮弘光神戸大教授は、同支部が組合や神戸市に提出した保存要望書の内容を紹介した。同支部は8月に組合、10月に神戸市に要望書を提出。県営繕課の代表作であると同時に50年代の日本におけるモダニズムを具現化した建築物であること、神戸・兵庫の戦後建築を代表し、旧居留地の文化的蓄積の豊かさにとってかけがえのない建築物であること、地域の産業文化と建築文化の結びつきを象徴する建築物であることを挙げ、保存の重要性を訴えている。梅宮教授は「この会館はバウハウス直系の日本では稀有な建築物。大事にしてほしい」と話した。
 また、花田佳明神戸芸術工科大教授は自身が携わった愛媛県八幡浜市立日土小学校校舎の保存の取り組みについて紹介した。
 最後に瀬戸本会長は「光安義光先生には学生時代から教わっており、作品がなくなる可能性があるのは悲しい。メンテナンスさえすれば長く使えるとおっしゃっておられた。保存は厳しい状況だが、JIAとともに最後まで頑張りたい」とあいさつした。
 同会館の建て替えについては、5月に組合が計画を示している。その後JIA兵庫や兵庫設監などが保存を求め、改修案などを提示したが、組合は市や県などの公的補助で改修費全額が賄えなければ建て替える方針を決めており、11月の臨時総会で結論を出すとしている。建て替える場合は同用途のビルとなり、延べ床面積は微増する見込みだ。
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