前田建設工業・鴻池組JVが建設する深さ71.8mの立坑 |
連絡管建設工事は東京都下水道局から受託。発進立坑は前田建設工業・鴻池組JVが受託し深さ71.8mの立坑を構築している。この深度での掘進は「日本で最深度クラス」(菅井雅之日本下水道事業団関東・北陸総合事務所施工管理課主幹)といい、掘削する土量は2万1508m3に及ぶ。立坑の構築にはニューマチックケーソン工法を採用。1カ月に約5mずつ掘削していく。この立坑から連絡管を掘削するシールドマシンを発進させるため、最深部の断面にはシールドのカッタービットで切断でき、コンクリートの代替として利用できる炭素繊維のNOMSTを採用している。現在は24m付近まで掘削が進んでおり、2015年11月下旬に完成する予定だ。
連絡管建設工事は公共下水道の区部では初であるというとなる。両方の水再生センターを連絡管で接続することにより、センターの再構築時に不足する水処理再生能力を、他のセンターで補完することが可能になる。また、地震などの災害時には水処理・汚泥処理のバックアップ機能を確保することができる。工事場所は東京都大田区東海。
連結管は総延長約8㎞(内径6000mm)。シールド工事の連携管建設その2工事は鹿島・飛島建設・大本組JV、到達立坑となる同その3工事は飛島建設・鹿島JVが担当する。
また、JSでは12年度から第4期公募型共同研究を実施しており、既存の合流式下水道施設へMBRを導入するための調査研究や、1m3当たり毎時0.4kW以下の省エネルギー化が可能な技術開発を目指している。栃木県真岡市の技術開発センターでは9区画の実験ヤードが整備されており、現在6者がMBR関連の研究を行っている。うち4者が第4期公募型共同研究の研究者となっている。
前澤工業・住友電気工業Gの実験ヤード |
MBRは孔径0.1-0.4マイクロm程度の精密濾過膜が用いられ、膜孔の閉塞を抑制するために曝気洗浄や薬剤洗浄が必要。この洗浄過程での消費電力が大きいことが課題となっている。前澤工業と住友電気工業のグループが研究する「PTFE製中空糸膜を用いたMBRの省エネルギー化に関する研究」では、散気気泡が中空糸内部に拡散しやすい構造を採用したことで、省エネルギー化を図った。また曝気洗浄以外の洗浄方法として、ダイセン・メンブレン・システムズの「新規平膜と機械的洗浄方法を用いた省エネルギー型MBRの開発」ではプラスチック粒子による機械的洗浄を採用。ラミネート加工で構造を強化することで膜モジュール厚2mmという薄さを達成し、高強度、高集積率を実現した平膜と合わせ、低消費電力のシステムを開発した。
第4期公募型共同研究は遅くても15年度までに終了し、16年度に第3次MBR技術評価をまとめ、開発された新技術の確立を図る考えだ。
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