2014/10/12

【津波避難】想定外の高波には、浮いて、さらに「逃げる」浮島

ユニークな発想の避難施設がある。発案したのは健康食品輸入販売業などを手掛けるハッピーライン(千葉県松戸市)で役員を務める猿谷進氏。鉄骨造の避難施設に発泡体などによる浮島を仕込んでおき、万一、避難施設を超える“想定外”の高波が押し寄せてきた場合、浮島がポールに沿って上昇するという仕組みだ。さらに万が一、水位がポールを超えた場合、浮島はポールの先端から抜け、単独で津波海面を浮遊するという仕組みも織り込んだ。画像は浮島が浮遊している状態。

平常時
基礎的なアイデアは東日本大震災の後に着想し、2012年に実用新案を登録したが、そこから改良を重ねて模型実験などを繰り返した。この結果、浮島の形はお椀に蓋をかぶせたような「V字円形船体」にたどり着いた。「浮島単独浮遊時の安定性と復元力が得られるようになった」(猿谷氏)。浮島の運搬や施工に配慮し、分割パーツを組み立てる方式を採用する。

津波が避難施設を超えると浮島が浮上する
ポールを超える水位になると単独で浮遊する
浮島は運搬しやすいようパーツを分割
猿谷氏は太平洋沿岸のある県にこの施設を提案し、県から「長期的な課題として、今後の津波対策の参考にしたい」との回答を得ている。浮島の実用化に向けては、専門家による本格的な船体設計が必要となるほか、低コスト化などクリアすべき課題が複数残されているのも事実だが、想定外を想定する新たな発想の津波避難施設だ。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿