工事は、新幹線終電後の深夜、1日2時間弱という短時間作業を余儀なくされる中、約6年にわたって裏込め注入工やロックボルト工、内面補強工などを実施した。
このうち、裏込め注入工では、既設コンクリートに径65mmを削孔し、作業用台車上で製造したグラウト材をポンプで充填。ロックボルト工はコンクリートと地山を自ら回転し削孔可能な自穿孔タイプとし、径32mm、長さ4mを打ち込み、空隙をドライモルタルで充填して固定した。内面補強工は、あらかじめ覆工コンクリートの状態を確認し、アラミド繊維シートを貼り付けた。シートは、おおむね50cm間隔でアンカー固定した。
これらの作業は、高速で通過する新幹線の運行に支障しないよう、その日の作業はその日の内に完結させる必要があった。
東鉄JVでは限られた作業時間と狭あいな作業スペースを有効に活用するため、トンネル内空断面に対応する足場台車や削孔ドリル機械などをJR東日本と共同開発するなど、軌道用作業車両を用いた鉄道工事での数多くの実績やノウハウを存分に発揮。作業の効率化、工期短縮に努めた。
工事期間中の11年3月には東日本大震災に見舞われたが、当該トンネルには大きな損傷がなく、対策の効果が確認されている。
東鉄・仙建JVの鈴木徳仁所長(東鉄工業)の話 「全従事員が高い安全意識を維持することを、わたしの使命として取り組んできた。特に日常業務の見える化に取り組み、作業手順書の絵解きや安全要注カードの採用など、従事員が理解しやすい環境を整えた。約6年間にわたり大事故もなく早期完了させたことを全従事員とともに喜び、誇りに感じている」
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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