高松稔一代表(株式会社シェルパ) |
1つは「得たい成果を明確にせずに取り組んでいること」。例えば、BIMモデルを使って数量を算出する場合、「すべてをBIMでやろうとすれば徒労に終わる」。手で拾う方が早い部分や、少額のため厳密に算出する意味が薄い部分もあるからだ。算出の目的が概算であれば、「型枠・鉄筋・コンクリートなどの躯体(約4、5割)を正確に出せばいいのではないか」とみる。同社では、数量算出にBIMを使う範囲を、基本的に建築関係22工種のうち16工種(約7割)に絞っている。
FMにつながるBIM総合図 |
得たい成果に合わせて、モデルの詳細度(LOD)も変わってくる。「日常生活で食事や旅行の目的に合わせて、店や行き先のグレードを変えるのと同じだ」という。シェルパでは5段階のLODを数値化しているという。
BIM活用でぶつかるもう1つの壁は、「モデルデータの受け渡し」。この点については、国土交通省官房官庁営繕部が2013年に冊子『建築コスト研究』に寄稿した「官庁営繕事業におけるBIM導入の試行等」の中で、「BIM導入・活用における課題」の1つとして指摘し、受け渡し時の混乱を避ける方法として「BIMモデルの説明書」の必要性に言及している。
高松氏は、こうした説明書をつくることで、「使う側が受け取ったモデルを数値的に判定できる」と話す。また、モデルをつくる側にとっても、「工場のライン管理のように、パーツごとに合否判定を行い、オペレーターごとのモデリング速度などのカイゼンにもつながる」という。
各企業がBIMを活用する際は、建物用途別や構造別の「部品倉庫」を事業所別に詳細度を分けて整備するといった地道な作業も必要。しかし、「少々面倒なことも考えながら、できるところからホップした企業が、ステップ、ジャンプしている。こうした取り組みを支援したい」と語る。
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