2016/06/03

【素材NOW】集中豪雨も1㎡当たり100リットル吸収! 超透水性舗装材「ナティア」


 エクステリアのメーカーが、都市型水害の予防に貢献する新発想の商品を発表した。マチダコーポレーション(前橋市)の舗装用コンクリートブロック「ナティア」は、透水性舗装に求められる規格値の30倍の透水能力を持つ。降った雨は1㎡当たり100リットルまで路盤材に貯留し、徐々に地盤に浸透させることのできる「超透水性舗装材」だ。

 「欧州では、自分の土地に降った雨は、自分の土地で吸収するべきだという考え方があり、ナティアのような舗装材が採用されている」と本田隆マーケティング本部副本部長R&Dセンター長は話す。日本では道路の表面や路盤材をアスファルトやコンクリートなどで水を通さないように固めるが、都市部に降ったゲリラ豪雨が路面から下水道を通って川に集中することで洪水の危険が高まっている。エクステリアメーカーの立場から「川に流れ込む水の量を少しでも減らす舗装を提案し、都市型水害の予防に貢献したいと考え、開発を進めた」と当時の経緯を振り返る。

「ナティア」

 ナティアは目地付きの層厚8cmの六角形コンクリートブロックで、目地には砂利を詰める。通常の透水性ブロックでは、表面の空隙から雨水が徐々に入り込んでいくが、ナティアの場合、雨水は敷石の目地と砂利の大きなすき間から路盤材めがけて一気に流れ落ち、豪雨でも雨水を移動させない「超透水性」を実現させることができた。
 路盤材には、浸透した水を保持するのに適した7号砕石を採用した。通常は18cm程度だが、ナティアでは22cmと厚めになっている。砕石の空隙を満たした雨水は徐々に下に降り、地盤に浸透していく。こうした工夫によって、1時間当たりの降雨強度が40mmの大雨が2時間続いても、スムーズに路盤材に保持し、降った土地の地盤に吸収させられるようになった。
 従来の舗装用透水性ブロックでは、夏場にアスファルトが溶けて目つぶれを起こし、水が入らなくなったり、コンクリートの空隙にちりやホコリが入り込んで目詰まりを起こしたりといったトラブルが起き、透水能力が半減するケースもあるが、ナティアにはそうした心配がないという。地下に水を浸透させると地盤が傷むのではないかとの懸念もあったが、路盤材の下にフィルター層を作って砕石と土が混じらないようにし、ゆっくり地下に浸透させる仕組みで解決した。
 同社はこれから、公共施設の中庭や公園、歩道、駐車場用として販売する予定だ。本田センター長は「環境先進国のドイツでは、年間1億㎡程度が施工されているが、日本ではまだ新発想の商品。まずは実績を作っていきたい」と考えている。
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