福島県南相馬市に建設したプラント |
この除染技術は、放射性セシウムを吸着するゼオライト、フェロシアン化鉄などの無機吸着剤と磁性粉を複合化した磁性吸着剤を使う。汚染された土壌や焼却灰とこの磁性吸着剤を水中で懸濁し、溶出したセシウムを無機吸着剤に吸着させ、超伝導磁気分離装置を用いて磁性吸着剤だけを懸濁液から分離する。
南相馬市に建設した実証プラントは、1日当たり焼却飛灰3tの処理能力を持つ。実際に放射性セシウムを含む焼却飛灰から、セシウムを除去して吸着剤へ移行させる実証試験を行った。焼却飛灰3tに含まれる放射性セシウムを、50キロの磁性吸着剤へ移行させることに成功。焼却飛灰は、埋め立て可能なレベルまで除染できたという。
今回の新技術で、指定廃棄物の量を大幅に減容化できる見通しとなったため、同社は製品化の可能性を検討する。さらに今後はピーエス三菱、三菱製紙エンジニアリング、パーム設計、福島大学などで構成する「飛灰除染プロジェクト」を母体として、分離されたセシウムを完全に遮蔽保存できる技術などの開発を進め、システム全体の完成を目指す。
放射能濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超える指定廃棄物扱いの焼却灰は現在、6万3000tにも達し、日々増加を続けている。「今回の実証試験のようにt単位の規模にも対応できる焼却飛灰の除染処理を行った例はない」(三菱製紙)という。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2012年12月17日3面
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