2012/12/07

【BIM】ベントレーのユーザーイベントinアムステルダム(1)

アムステルダムで開かれたBe Inspired
◇Be Inspired event

 IT技術を駆使したビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)が、世界的な潮流となってすでに久しい。日本の建設業界では3次元データを使った設計や施工が建築分野で先行的に普及し、今や土木分野でも本格的な活用が進みつつある。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に代表されるインフラ分野のIT技術は日進月歩で進化を続けているが、それに呼応するようにユーザーの側も進化を続けている。CAD大手の米国・ベントレー・システムズが11月にオランダ・アムステルダムで開いたユーザーイベント「Be Inspired(ビー インスパイアード)」で、双方の進化の一端を垣間見た。

◇「何とスマートなんだ!」

 「何とスマートなんだ!」。アムステルダムでインタビューに応じたベントレー米国本社のグレッグ・ベントレーCEO(最高経営責任者)は、予定時間を延長しながら日立GEニュークリア・エナジーの取り組みを褒めちぎった。同社は、ベントレーの「マイクロステーション」を高度に応用して統合プラント建設システムを構築、コスト削減やスタッフの意識改革など、さまざまな相乗効果を生み出している。
 優れた道具は、優れた使い手が現れることでその性能を余すところなく発揮する。バージョンアップを重ねて進化を続けているのは、なにもベンダーが提供する製品だけではない。ユーザーがベントレーのシステムをどのように活用したか、その結果、どのようなイノベーションを生み出したか、それを競うイベントがBe Inspiredだ。ユーザー同士の“知恵比べ"でもある。
 今回は39カ国から応募があり、58のプロジェクトが最終選考に残った。世界中から選ばれたファイナリストたちは11月13、14の両日、アムステルダムに集まりプレゼンテーションを行った。

◇世界からBIMユーザー集結

 プレゼンの様子はさまざまだ。皮肉の効いたジョークを交えるイギリス、パワーポイントのデザインがおしゃれな北欧勢、押しが強い中国、終始会場から笑いが絶えないアメリカ、淡々とプレゼンするロシア、なまりが強い英語のインド。ファイナリストたちのお国柄を見てとれるのもこのイベントの醍醐味だろう。日本からは新日鉄住金エンジニアリング、日立GEニュークリア・エナジーの2社が参加し、ともに若手がプレゼンテーションした。
 各国の専門家19人を審査員として招き、建築、橋、行政、鉄道、道路、洋上エンジニアリング、地質など20部門それぞれの最優秀賞を決める。今回は日本から草柳俊二高知工科大教授が審査員として選ばれている。このほか、ベントレーの幹部らのみで審査する「特別賞」という枠もある。
 羽田再拡張事業での取り組みを報告した新日鉄住金エンジニアリングは洋上エンジニアリング部門の最優秀賞、一方、日立GEニュークリア・エナジーは特別賞をそれぞれ受賞した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2012年12月5日12面

 

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