開発したアンカーボルト |
安藤社長は「笹子トンネルの事故は、レジンの劣化によるアンカーボルトの抜け落ちが原因の一つと言われている。かつて指導を受けたことがある東大の故岸谷孝一教授に『化学反応を利用した土木に関する発明は、経年によりさらなる化学反応を生み、不具合の元となる』とアドバイスされたことを思い出した。AAPロックアンカーはステンレス製で、樹脂系接着剤のような劣化による脱落はない。コンクリートの破断やボルトのせん断荷重を超えない限り、抜け落ちることはない」と断言。「この問題は人命にかかわることであり、日本が国の威信をかけてでもなんとかせねばならない一刻を争う事態だ。このアンカーボルトは日本を守ることができると自負している」と語る。
施工に高度の技術を必要としないのも魅力の一つ。「コンクリートの穴にAAPアンカーを押し込み、ボルトを締め込むだけなので、施工品質の差が発生しない。工期も大幅に短縮できる」という。加えて、ボルトの長さは、従来工法より長くすることが可能だ。
同商品開発はもともと、東日本大震災の発生に端を発する。地震動による教育施設の天井崩落が頻発したことを受け、2011年の夏から天井落下防止製品の開発に着手。開発にほぼめどをつけた矢先に、笹子トンネルの事故が発生した。
安藤社長は「建築向けに開発した製品を、土木向けに改良した。先日は、笹子トンネルで使われていたボルトと同じ径16mmの試作品を国土交通省に持参し、説明してきた。天井つり下げやトンネルで使われる大型送風機の固定などの土木構造物だけでなく、建築物においても活用が可能だ」という。今後は横壁用のアンカーボルトも予定しており、さまざまなニーズに応える考えだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2012年12月21日3面
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