2013/03/03

【現場の逸品】大成建設プロデュース! 建設現場専用「iPadケース」

現場専用「iPadケース」
ゼネコンがモバイルグッズをプロデュース--。業務効率化などに役立つICT(情報通信技術)の発展に伴い、建設現場でもタブレット端末の導入が進む中、大成建設が監修した「iPad(アイパッド)」用の保護ケースが、口コミで話題になっている。日々、施工管理などに従事する現場監督の生の声を反映したケースには、屋外で働く人にとって、“かゆいところに手が届く"機能が盛りだくさん。ふたの開き方や収納ポケット、画面を覆う特殊ビニールなど、至るところに工夫が散りばめてある。


◇監督さんの「生の声」反映

 「防水や防じん、衝撃への耐力が重要だと思っていた」。かねてから、建設現場向けのケースに何が求められるかを考えていたモバイル周辺機器の専門商社、シーエフ・カンパニー(東京都千代田区)の加藤健一さんはこう振り返る。
 大成建設の工事現場向けアプリケーション開発がきっかけとなり、同社とのつながりを持った加藤さんは、「われわれは現場を知らない。重要と思っていたことが、必ずしもそうではない」ことを悟った。
 「一般の人は見た目を重視しますが、現場は何より安全が第一です」と語るのは、商品監修に携わった大成建設建築本部建築部の畑石千裕さん。使う側に安心感を持ってもらうため、ひもの太さや金具の大きさにもこだわった。
 また、同部の田辺要平課長は「屋外で使うiPadを落としたりして壊さないためには、体から離さないことが一番。身に着けたまま、さまざまな動作をできることが大切になる」とニーズを伝えた。


たすき掛けのまま、手前から奥にふたを開ける
◇身に着けたまま使い勝手も良く

 「どんなに耐久性があっても、使い勝手が良くないとダメだ」(加藤さん)。各社の担当者は現業の現場監督の意見も集め、最適な機能を追求した。そうして出来上がり、昨年10月に販売開始されたのが『建設現場用新iPadケース』だ。
 通常の保護ケースは、ふたを奥から手前に開けるのが一般的だが、それを逆にすることで、たすき掛けにしたままでも、支障なくケースを開けられるように工夫した。“伸びしろ"の部分は、折り返してマジックテープで固定でき、動作の邪魔にならない。肩ひもを通すフックも四隅付近に取り付けてあり、好みの掛け方ができる。
 カメラのレンズ部分には、あらかじめ切れ込みを入れてあり、そのままの状態で撮影が可能。自由な角度で画面を立てられる仕様は、机上での使用にも役立つ。


身につけたままカメラ撮影が可能。レンズには切れ込みが
◇“メード・イン・江戸"

 ケース裏面の収納ポケットは、一般的には中が見えないようになっているが、あえて透明にし、「打ち合わせのメモや伝票など、どんなものが入っているか一目で分かるようにした」(畑石さん)。上ぶたは、画板のように固くなっており、その上に用紙を置いてメモも取れる。
 製造元は東京都中央区に本社を置くデンケイメディアサービス。市販されているケースのほとんどは中国製だが、手作りで良好な質感を醸し出す“メード・イン・江戸"で付加価値を高めた。液晶画面を覆うフィルムには、同社の真仲義男代表取締役が「温度差や紫外線による黄ばみにも強い」と胸を張る特殊なビニールを使用した。
 ケースは、iPad2以降のモデルに対応。カラーは紺、グレー、ベージュの3色を用意した。価格は9000円(送料、税込み)で、シーエフカンパニーのサイト(http://www.cfcompany.co.jp/)でネット販売している。
 ゼネコン社員のほか、屋外で調査をする研究者など建設業以外の人からも問い合わせがあるという。スポーツ関連なども含め、フィールドワークをする人に適した逸品だ。現在、iPadmini用のケースも開発中で、今春には発売される見通し。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年2月27日 14面

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2 件のコメント :

  1. いいですね!
    使ってみたいです(^o^)

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  2. 襷がけで一日使っています。透明のポケットにはミニ黒板入れてます。デザインも気に入っているので、mini用が出たらプライベートで買いたいと思ってます。

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