ひたちなか母と子の病院 |
「室内外とも複雑で難しい現場だったが、命が誕生する建物を手掛けることができた喜びは大きい」とは、現場所長の表隆行氏。1990年の入社から23年間でマンションや事務所ビル、工場などの現場を経験してきたが、病院工事への打診に「最初は正直、不安もあった。社内に誰も経験者がいない中で選ばれたのは当たり障りのない性格だからでしょうか」と苦笑いする。
◇作業員は70人
着工は2012年2月末。躯体と仕上げ工事が重なった最盛期には総勢70人ほどの作業員が現場入りした。そのころには病院建築の難しさにも直面したという。内装工事に並行して設置される特殊医療機器や情報管理システムの調整作業が行われ、常に搬入状況を把握しなければ、段取りが組めない状況だった。
現場をマネジメントした医療コンサルタントとの打ち合わせを繰り返すうちに「逆に医療の専門知識もかなり習得できた」という表所長は、これまでを振り返りながら手応えをこう口にする。「病院工事では、コンセントの位置調整から部屋サイズの変更まで現場が動き出してからの微妙な調整作業が他の建築よりも多い。使い勝手や医療体制などを踏まえ、生の声を聞きながら進めていく独特の現場感覚が求められる。苦労が多かった分、思い入れも強い」
約60人のスタッフで運営する同病院は、女性のためのトータルヘルスケアを目指して『あたたかい医療』をコンセプトに経営する地元でも評判の高い産婦人科だ。手島研作理事長・院長は「設計意図を忠実に施工してもらえた」と、不二建設への感謝を言葉にする。
◇リラックスできる病院
「感心したのは準備工事や基礎工事など前段階の作業を丁寧に行ってもらった点で安心できた。産婦人科は喜ぶ患者だけでなく、悲しむ患者もおり、それだけにリラックスできる場所を提供したいという強い思いがあった。設計者、施工者のおかげでわれわれが求めていた病院を実現できた」
この現場が、所長10件目という表所長。次は川崎市内のマンション建設現場への赴任が決まっている。「私にとって初めての病院建築となったがこの実績が会社としての医療分野開拓のきっかけになれば」とも考えている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月13日
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