2013/03/09

【現場最前線】豪雪地新潟で鉄道の足を守る 東鉄工業の除雪ロータリー車

日本有数の豪雪地帯である新潟で、列車の安全・安定輸送を支えるため、東鉄工業の除雪車「モーターカーロータリー(MCR)」が日夜活躍している。一面が雪に覆われる冬季は、通常の軌道保守工事ができないことから、除雪作業に専念。毎日の天気予報に気を配りながら綿密な除雪計画を立て、担当エリアを走り回る。同社新潟支店越後湯沢出張所を訪ねた。

雪を飛ばす方向にもノウハウが必要
同出張所は、首都圏と中越、北陸地方などを結ぶ上越線、山間部を抜け福島県会津若松に至る只見線のうち、総延長約110㎞の区間で昼夜問わず除雪作業に奮闘している。
 除雪は列車運行の合間を縫って、日中と夜間の1日2回実施するのが基本だが、雪深い場所では3-4回行うケースも少なくない。運行本数の多い越後湯沢駅~六日町駅間は、夜間作業がメーンとなる。新潟支店線路部の佐藤史明さんによると、「大雪の際は日中に列車を止めて、徹底的な除雪をする場合もある」という。
 出張所は中村進所長を筆頭に、社員21人が所属。協力会社を含めた約60人体制で、日々過酷な業務をこなす。MCRは10台所有。ことしは例年より雪が少ないというが、それでも、この間の半分ほどは全10台がフル稼働している。
 MCRには原則、責任者の東鉄工業社員と協力会社の運転者、除雪装置操縦者の3人が乗り込む。東日本旅客鉄道(JR東日本)の列車制御指令室との連絡を密にしながら、その時々の状況に応じてMCRを走らせる。
 実際の作業では、熟練のテクニックやノウハウも求められる。ただMCRを走行させるという単純なものではなく、降雪の状況や風向き、周辺環境を見ながら、常に雪を飛ばす方向に注意を払う必要があるためだ。現場を案内してくれた東鉄工業の芳賀裕行さんは、「道路の位置や線路脇の住宅などに気を付け、なるべく現場周辺の方々に迷惑が掛からないようにしている」と話す。
 また、積雪量の多い日が続くと、線路脇に雪の投げ場がなくなってくることもあるが、そのような場合は「前方に雪を飛ばしながら走行し、横に投げられる場所を探して対処する」(芳賀さん)方法をとる。特に降雪が激しいエリアでは、サイドに積まれた雪の高さが3m以上に達するという。
 除雪作業に特化する冬季体制は例年、12月下旬から始まる。豪雪地帯において“市民の足"を守る雪との戦いは3月中旬まで続く。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月4日

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