国土技術政策総合研究所は18日、茨城県つくば市の同研究所敷地内で、津波の河川遡上の実験を行った。東日本大震災に伴う津波で被害が出た、宮城県石巻市の北上川の追波湾口から南西へ向かう地形を330分の1の模型で再現し、水を流してその動きを追った。
東日本大震災では、石巻市を流れる北上川を津波が遡上し、堤防を乗り越えて多くの犠牲者を出した。同研究所では陸側に入った津波が移動して再び河川側に流れ戻るという、これまでにないケースに着目し実験データを取った。
同湾の河口から北上川の上流約10㎞と、その周辺域約10㎞四方の範囲を、長さ33m、幅30m、深さ0.5mの平面水槽に縮尺し、コンクリートなどの材料を使って再現した。実寸の1mが模型では約3mmに相当する。
実験では津波発生直後=写真左上、海岸堤防などを乗り越えた津波は、河川を遡上する津波とともに川上へと移動。釜谷山根1の石巻市立大川小学校の辺りを巻き込み、再び河川に戻りつつ、さらに遡上を続けた。時間にして約3分。その後、同小学校付近の堤防から、さらに水が陸側に流れ込んだ。
同研究所河川研究部河川研究室の服部敦氏は「今回の実験で津波の高さが正確に出せたかは微妙だが、これらの実験を繰り返し行い、精度を高め、そのデータを集めて津波の河川遡上の実態を正確につかみたい」と話している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月21日
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