1959年9月の伊勢湾台風での被害を受けて、近畿地方整備局が整備を進めてきた大滝ダム(奈良県川上村)が、建設着手から半世紀を経て、23日に現地で除幕式と竣工式が盛大に開かれた。式典は近畿地方整備局と川上村で構成する大滝ダム竣工式実行委員会が主催した。大滝ダムは堤高100m、総貯水容量8400万m3の規模を誇り、治水、利水、水力発電を目的とした多目的ダム。総事業費は約3640億円。公募したダム湖名は「おおたき龍神湖」に決まった。
◇堤高100m 総貯水容量8400万m3
竣工式に先立って大滝ダムサイト右岸で開いた除幕式では、近畿整備局の谷本光司局長が「62年の事務所開設から50年を経て竣工できた。ダム湖が新たに誕生し、自然にあふれた新たな安らぎの場となることを願っている。川上村のさらなる発展を祈念している」とあいさつした。
続いてダム湖名選定委員会の池淵周一委員長(京大名誉教授)が、148人、計205点の中から吉田志帆さんの「おおたき龍神湖」を選んだ理由について「場所を特定でき、歴史を後世に伝え、親しみを持って末永く呼ばれる3点を理由に選定した」と紹介した。除幕とともに地元の小中学生が風船を放天、合わせて記念植樹も行った。
会場を川上村立川上小学校に移して開いた竣工式では、谷本局長が「竣工できたのも多くの地権者の深い理解と協力のたまもの。多くのご苦労の上に竣工があることを常に忘れてはいけない。いよいよ本格的な稼働運用が始まる。引き続き、支援と協力をお願いする」と述べ、国土交通省水管理・国土保全局の足立敏之局長も「大滝ダムの竣工を心から喜んでいる。防災・減災施設の整備を進めており、さらなる充実強化に取り組んでいく」とあいさつした。
同整備局紀の川ダム統合管理事務所の牟禮輝久所長が事業経過を報告し、「これから管理に入るが、治水・利水・発電・水環境・水源地の村づくりとの連携の5つの安全安心を届けるため、職員一同しっかりと管理に努めたい」と決意を述べた。
除幕式 |
来賓からは奈良県の荒井正吾知事が「奈良県にとって意味の大きい事業。県民は安くておいしい水を飲むことができる。大滝ダム周辺を新しいまちとして再生できるように県として取り組む」と語り、和歌山県の仁坂吉伸知事は「大滝ダムがここに控え、和歌山を水害から守ってくれているのは本当に頼りになり、ありがたい。竣工により両県の友情と連携が強まることを願っている」と祝辞を寄せた。
この後、地元川上村の大谷一二前村長と川上村議会の大西廣長議長に太田昭宏国土交通大臣の代理として、足立局長から感謝状が贈呈された。
大滝ダムは紀の川水系紀の川に築造した堤頂長315m、堤体積103万m3規模の重力式コンクリートダム。本体施工は熊谷組・日本国土開発・大豊建設JVで担当した。奈良県と和歌山県の流域5市2町に対する洪水防御や流水の正常な機能の維持のほか、奈良県と和歌山県、和歌山市、橋本市への水道用水の供給、和歌山市への工業用水の供給を行う。また、関西電力が最大1万0500kWを発電する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年3月26日
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