2014/08/06

【意見交換会】「作業着がダサイ!」「トイレがない!」 女性技術者のホンネ

北陸地方整備局富山河川国道事務所と地盤工学会北陸支部は4日、女性技術者による意見交換会を富山県氷見市の女良地区女性活動拠点施設で開いた=写真。同局や管内自治体(富山、金沢、七尾各市)の職員、建設、コンサルタント企業の社員とともに、金沢大、富山県立大、石川工専の学生ら約40人が参加。建設産業という“男性社会”で女性技術者が進出、定着するには、業界だけでなく、社会全体でその理解度を深めていく必要があるとの認識で一致した。

 議題は、共通テーマを「女性の視点で見た現場に足りないもの」とし、個別テーマに▽女性技術者であることのメリット、デメリット▽女性技術者に対する偏見▽建設業に関心があっても女性の職業として選ばない致命的な原因は何か--を設定した。参加者は6グループ(1グループ6-7人)に分かれ、男性を一切交えず忌たんなく議論した。
 会合では、各グループとも男性を中心とする現場特有の文化に一定の理解を示しながらも、それが弊害となって女性用のトイレ、更衣室、休憩室などの設置が進まないと指摘。さらに物理的な部分だけでなく、「考え方が固く、新たな取り組みへの柔軟性が乏しい」と厳しい意見も上がり、「努力しても男性と同様に評価してもらえない」「技術系以外の業務に振り分けられ、男性に比べて経験を積むのが遅くなる」「家事や育児のために有給休暇や時短制度を使いたいが、快く思われていないように感じる」「男社会で働く女性はほかの産業から偏見の目で見られがち」など“女性だから”という先入観の中で働く辛さをにじませ、業界、社会の理解を訴えた。
 一方、「女性は珍しいのですぐに顔と名前を覚えてもらえる」「男性は基本的に愛想がない。コミュニケーション能力の高い女性はオープンな現場づくり、業界の魅力発信に適している」などの利点が聞かれた。また、「力仕事や危険を伴う仕事を率先して手伝ってくれる」と男性からの日常的な協力に感謝する声が多く上がり、「女性ばかりの産業に比べて(建設産業は)男性が多いので気を使わないで済む。女性であることのメリット、デメリットは半々くらい」との見方もあった。
 このほか、「朝早く夜遅い。家事と育児、仕事の両立が難しい」「女性は頼りないと思われ、地域住民との話し合いなどで相手にされない」「女性用の作業着がない。(作業着自体が)ださい」「企業内のコンプライアンス(法令順守)により現場の環境も徐々に良くなっている」などの意見が上がった。
 同事務所では今回の意見交換会の内容を本局に伝え、女性技術者の活用推進につなげる考えだ。意見交換会に先立って、能越道七尾氷見道路の現場見学会も実施した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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