夏休みも中盤にさしかかる中、国土交通省や建設業団体、建設会社による子ども向けのイベントが全国各地で開かれている。現場見学や講座など「夏休みの課題」に使えるようなイベントとして、恒例行事になっているものも多く、担い手確保が建設業の最大の課題となっている中で、建設業への理解を深める活動として広がりと継続性が期待されている。
国交省の建設産業活性化会議が6月にまとめた中間とりまとめでは、現場見学や学校と連携した広報活動によって建設産業への理解や関心を高める必要性が提示された。建設業団体や企業による現場見学は、定期的に各地で開かれており、特にこの時期は夏休みに「宿題」として参加できる催しが多い。現場だけでなく、インフラ巡りツアー、水源地や港の見学など社会資本に親しむためのイベントも数多く開催されている。
ただ、昨今、担い手確保に向けた取り組みの重要性が叫ばれる中で、これまでより趣向を凝らし、建物や構造物を造ることにより深く関心を持てるような取り組みも増えている。
◆技術者と一緒に
土木学会が、100周年記念事業の一環として開いた「未来のT&Iコンテスト/アイデア部門」の技術検討会は、子どもなどが提案した「未来のまち」をゼネコン社員などの技術者が一緒になって実現方法を考える。優秀提案者の一人、東京都江東区越中島小学校3年生の藤井雄也くんは、「道路をすべて木でつくりたい」と提案。京都教育大学付属京都小中学校6年生の高橋和湖さんは水に浮かぶ都市を絵に描いて優秀賞に選ばれた。岡山県倉吉市立小鴨小学校2年生の山田桐哉くんは、モノレールや“自動運転道路”、自然エネルギーシステムなどが組み合わさった未来型複合道路をイメージ。愛知県岡崎市立常磐南小学校6年生の近藤泰暉くんは、天空都市と地下都市をエレベーターで結ぶ未来都市を夢見る。技術検討会では、頭の中にある提案者のイメージを技術者が丁寧に聞き取り、どうしたら実現できるか、頭を悩ませていた。
これまで土木学会が一般から提案を募集したことはなく、建設業に関心を持つきっかけづくりとして、新たな未来につながる取り組みと言える。
◆親の働く姿見る
全国の建設業協会も子ども向けイベントには力を入れている。特に目を引くのは、国交省九州地方整備局と九州建設業協会、日本建設業連合会が共同で開催する「おやじの日」だ。昨年に引き続き、2回目の開催となるが、特徴的な点は施工会社や協力会社、発注者が協力し、その会社・発注者の社員として実際に働く「お父さん」を家族が一緒に見に行くという試みだ。「現場で働く作業員が自分の息子を継がせようと思わない業界であってはならない」(山内隆司日建連副会長)という声が上がる中で、ただ現場を見せるだけでなく、自分の親の働く姿を見せることで建設業があこがれの対象になるよう工夫されている。
宮城県建設業協会と東北整備局仙台河川国道事務所も、5日に阿武隈川河口部堤防復旧事業の施工者・日建工業の社員家族向け見学会を開催。業界団体だけでなく、建設会社でも同様の取り組みが開かれている。7月22日には建設技術研究所、同月30日には竹中工務店が、それぞれ従業員の子どもを対象に職場見学会を開いた。社員の仕事を家族にも応援してもらうことで、就業意欲を高める効果もあるとみられる。
◆継続性に期待
これら子ども向けイベントは、継続性の重要性が指摘されており、参加者が就業して子どもが生まれた時にまた参加できる取り組みにする意識が求められている。また、「夏休みの課題」だけでなく、「職業としての建設業」を意識できる工夫も期待される。
7月22日
▽建設技術研究所=夏休み親子職場探検隊を宮城県女川町で開催
▽国交省北陸地整=高校生向け現場見学会
7月23日
▽福島建協=高校生向け現場見学会
7月24日
▽日建連=科学技術館サイエンス友の会会員小学生と親が科学技術館建設館と環7地下調整池を見学
7月25日
▽日建連四国支部=親子現場見学会
7月26日
▽群馬建協=恵泉幼稚園をイメージキャラクター「ぐんケンくん」が訪問
▽兵庫建協と青年部会=建設ふれあいまつりを開催
▽土木学会=「未来のT&Iコンテスト/アイデア部門」の技術検討会を開催
7月28日
▽福島建協=親子建設現場見学会
7月30日
▽竹中工務店=従業員の子どもを対象に職場見学会
7月31日
▽スズコー=住宅展示場で、親子で学ぶ手づくり発電教室を開催
▽土木学会北海道支部=親子で土木の現場めぐりバスツアー
8月2日
▽地盤工学会関東支部=小学生向け科学体験教室を開催
▽清水建設=中央区地域家庭教育推進協議会主催の学習会で親子木工教室
▽埼玉県入間市=市内の女子小中学生向けの講座開催
8月2-9日
▽九州整備局、九州建設業協会、日建連=建設会社社員、発注者、協力会社の家族が実際の仕事場で父親が働く姿を見学する「おやじの日」を開催
8月3日
▽鴻池組=名塩道路八幡トンネル工事に地元小学生を招く
8月4日
▽大阪建協=三田技能建設研修センター実習場で高校生向け夏休み体験セミナー
8月5日
▽宮城建協、東北地方整備局仙台河川国道事務所=建設会社社員の家族向けの現場見学会
▽日建連=科学技術館サイエンス友の会会員小学生と親が科学技術館建設館と京葉銀行千葉みなと新築工事現場を見学
8月6、7日
▽国土交通省=子ども霞が関見学デーで建設業の仕事体験コーナー設置
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
国交省の建設産業活性化会議が6月にまとめた中間とりまとめでは、現場見学や学校と連携した広報活動によって建設産業への理解や関心を高める必要性が提示された。建設業団体や企業による現場見学は、定期的に各地で開かれており、特にこの時期は夏休みに「宿題」として参加できる催しが多い。現場だけでなく、インフラ巡りツアー、水源地や港の見学など社会資本に親しむためのイベントも数多く開催されている。
ただ、昨今、担い手確保に向けた取り組みの重要性が叫ばれる中で、これまでより趣向を凝らし、建物や構造物を造ることにより深く関心を持てるような取り組みも増えている。
◆技術者と一緒に
土木学会が、100周年記念事業の一環として開いた「未来のT&Iコンテスト/アイデア部門」の技術検討会は、子どもなどが提案した「未来のまち」をゼネコン社員などの技術者が一緒になって実現方法を考える。優秀提案者の一人、東京都江東区越中島小学校3年生の藤井雄也くんは、「道路をすべて木でつくりたい」と提案。京都教育大学付属京都小中学校6年生の高橋和湖さんは水に浮かぶ都市を絵に描いて優秀賞に選ばれた。岡山県倉吉市立小鴨小学校2年生の山田桐哉くんは、モノレールや“自動運転道路”、自然エネルギーシステムなどが組み合わさった未来型複合道路をイメージ。愛知県岡崎市立常磐南小学校6年生の近藤泰暉くんは、天空都市と地下都市をエレベーターで結ぶ未来都市を夢見る。技術検討会では、頭の中にある提案者のイメージを技術者が丁寧に聞き取り、どうしたら実現できるか、頭を悩ませていた。
これまで土木学会が一般から提案を募集したことはなく、建設業に関心を持つきっかけづくりとして、新たな未来につながる取り組みと言える。
◆親の働く姿見る
全国の建設業協会も子ども向けイベントには力を入れている。特に目を引くのは、国交省九州地方整備局と九州建設業協会、日本建設業連合会が共同で開催する「おやじの日」だ。昨年に引き続き、2回目の開催となるが、特徴的な点は施工会社や協力会社、発注者が協力し、その会社・発注者の社員として実際に働く「お父さん」を家族が一緒に見に行くという試みだ。「現場で働く作業員が自分の息子を継がせようと思わない業界であってはならない」(山内隆司日建連副会長)という声が上がる中で、ただ現場を見せるだけでなく、自分の親の働く姿を見せることで建設業があこがれの対象になるよう工夫されている。
宮城県建設業協会と東北整備局仙台河川国道事務所も、5日に阿武隈川河口部堤防復旧事業の施工者・日建工業の社員家族向け見学会を開催。業界団体だけでなく、建設会社でも同様の取り組みが開かれている。7月22日には建設技術研究所、同月30日には竹中工務店が、それぞれ従業員の子どもを対象に職場見学会を開いた。社員の仕事を家族にも応援してもらうことで、就業意欲を高める効果もあるとみられる。
◆継続性に期待
これら子ども向けイベントは、継続性の重要性が指摘されており、参加者が就業して子どもが生まれた時にまた参加できる取り組みにする意識が求められている。また、「夏休みの課題」だけでなく、「職業としての建設業」を意識できる工夫も期待される。
7月22日
▽建設技術研究所=夏休み親子職場探検隊を宮城県女川町で開催
▽国交省北陸地整=高校生向け現場見学会
7月23日
▽福島建協=高校生向け現場見学会
7月24日
▽日建連=科学技術館サイエンス友の会会員小学生と親が科学技術館建設館と環7地下調整池を見学
7月25日
▽日建連四国支部=親子現場見学会
7月26日
▽群馬建協=恵泉幼稚園をイメージキャラクター「ぐんケンくん」が訪問
▽兵庫建協と青年部会=建設ふれあいまつりを開催
▽土木学会=「未来のT&Iコンテスト/アイデア部門」の技術検討会を開催
7月28日
▽福島建協=親子建設現場見学会
7月30日
▽竹中工務店=従業員の子どもを対象に職場見学会
7月31日
▽スズコー=住宅展示場で、親子で学ぶ手づくり発電教室を開催
▽土木学会北海道支部=親子で土木の現場めぐりバスツアー
8月2日
▽地盤工学会関東支部=小学生向け科学体験教室を開催
▽清水建設=中央区地域家庭教育推進協議会主催の学習会で親子木工教室
▽埼玉県入間市=市内の女子小中学生向けの講座開催
8月2-9日
▽九州整備局、九州建設業協会、日建連=建設会社社員、発注者、協力会社の家族が実際の仕事場で父親が働く姿を見学する「おやじの日」を開催
8月3日
▽鴻池組=名塩道路八幡トンネル工事に地元小学生を招く
8月4日
▽大阪建協=三田技能建設研修センター実習場で高校生向け夏休み体験セミナー
8月5日
▽宮城建協、東北地方整備局仙台河川国道事務所=建設会社社員の家族向けの現場見学会
▽日建連=科学技術館サイエンス友の会会員小学生と親が科学技術館建設館と京葉銀行千葉みなと新築工事現場を見学
8月6、7日
▽国土交通省=子ども霞が関見学デーで建設業の仕事体験コーナー設置
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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