社員は席に着く際、スマートフォンを取り出して照明をオンにする。NTTファシリティーズが自社の研究開発拠点に位置付ける「NTTファシリティーズ新大橋ビル」(東京都江東区)。ここでは100人の社員全員に専用のスマホを渡し、リアルタイムに社員一人ひとりの位置や行動を把握している。同社の植草常雄研究開発本部長は「実証実験型オフィスが完成した」と胸を張る。
規模はRC一部SRC造地下1階地上4階建て延べ4342㎡。ここには省エネ、安全性、快適性など建物の使い勝手にかかわる同社の最新技術がふんだんに盛り込まれている。同社は建物ライフサイクルコスト(LCC)で20%の削減、エネルギーコストでは平均25%(最大65%)の削減を試算として導いた。社員は日常の業務をこなしながら自社の技術を自ら実践し、その効果をユーザーや技術にフィードバックする。
天井部分に3m間隔で配置されたセンサーを通し、スマホからの情報を収集する。建物内では温度、湿度、気流、放射の4要素を利用した空調システムを採用しており、社員の情報を踏まえながら効率的な制御を行う。人の位置を検知し、その周辺の照明や空調の操作だけでなく、今後はスマホ操作のストレスもなくそうと、音声制御にもトライする予定だ。
フロア3階には、エネルギーロスを最小限に抑えられる直流給電のオフィス空間も設けた。地下1階の電力システム室には直流の給電場所も用意し、社を挙げて提案する直流オフィスの有効性を自ら立証する。ここで使うLED(発光ダイオード)照明やモニター、冷蔵庫などの電気機器も直流対応を使う熱の入れようだ。
建物構造面でも最新技術の検証を試みる。制震ダンパの性能検証では地震時の性能をデータ解析し、しかも地震後には別のダンパに入れ替え、製品自体の良し悪しも判断する計画。既に11物件の導入例がある建物安全度判定システム「揺れモニ」もあえて導入し、地震時の建物挙動を把握するほか、いずれはリアルタイムデータを地震速報と連携させ、社員のスマホに情報を発信する仕掛けを実用化させる目論みもある。
河村大助建築事業本部CM部長は「このビルでは環境制御からBCP(事業継続計画)までトータルでとらえる“スマート建築”の実験を精力的に進めていく」と力強く語る。建設段階では設計から施工までのフルBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入し、BIMデータをFMシステムに連携させる国内初の先導プロジェクトにも取り組んだ。
建物が完成し、これからはLCC20%削減の試算を実際に検証する実際の運用フェースがスタートする。植草本部長は「BIMデータを手がかりに、どの部材に手を加えるべきかが事前に把握できることは維持管理コストの点で有効。今後は改修や修理など更新情報を常にリフレッシュすることが欠かせない」と先を見据えている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
規模はRC一部SRC造地下1階地上4階建て延べ4342㎡。ここには省エネ、安全性、快適性など建物の使い勝手にかかわる同社の最新技術がふんだんに盛り込まれている。同社は建物ライフサイクルコスト(LCC)で20%の削減、エネルギーコストでは平均25%(最大65%)の削減を試算として導いた。社員は日常の業務をこなしながら自社の技術を自ら実践し、その効果をユーザーや技術にフィードバックする。
天井部分に3m間隔で配置されたセンサーを通し、スマホからの情報を収集する。建物内では温度、湿度、気流、放射の4要素を利用した空調システムを採用しており、社員の情報を踏まえながら効率的な制御を行う。人の位置を検知し、その周辺の照明や空調の操作だけでなく、今後はスマホ操作のストレスもなくそうと、音声制御にもトライする予定だ。
建物全体が技術実証の場 |
建物構造面でも最新技術の検証を試みる。制震ダンパの性能検証では地震時の性能をデータ解析し、しかも地震後には別のダンパに入れ替え、製品自体の良し悪しも判断する計画。既に11物件の導入例がある建物安全度判定システム「揺れモニ」もあえて導入し、地震時の建物挙動を把握するほか、いずれはリアルタイムデータを地震速報と連携させ、社員のスマホに情報を発信する仕掛けを実用化させる目論みもある。
河村大助建築事業本部CM部長は「このビルでは環境制御からBCP(事業継続計画)までトータルでとらえる“スマート建築”の実験を精力的に進めていく」と力強く語る。建設段階では設計から施工までのフルBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入し、BIMデータをFMシステムに連携させる国内初の先導プロジェクトにも取り組んだ。
建物が完成し、これからはLCC20%削減の試算を実際に検証する実際の運用フェースがスタートする。植草本部長は「BIMデータを手がかりに、どの部材に手を加えるべきかが事前に把握できることは維持管理コストの点で有効。今後は改修や修理など更新情報を常にリフレッシュすることが欠かせない」と先を見据えている。
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