2014/08/22

【記者座談会】第1四半期決算好調な滑り出し 建コン業界M&A時代に?

A 大手・準大手ゼネコン24社の2015年3月期第1四半期決算が出そろった。
B 20社が連結営業利益で黒字を確保し、上々の滑り出しとなった。業績の先行指標となる受注高(単体)は、東京外かく環状道路(外環)本体工事など大型土木工事が寄与し、主戦場である民間建築工事も堅調に推移した結果、21社が前年同期実績を上回った。
C 受注高合計は4年連続の増加となった。その伸び率は20%弱から30%弱で推移していたが、今第1四半期は“外環効果”で46.4%増と大きく伸びた。土木が倍以上に増加しており、ある準大手ゼネコンからは「土木の営業マンは下期の仕事がなくなる」との声も出ている。数社が通期の受注予想を上方修正したが、各社いずれも採算重視の姿勢を徹底しており、大半は前期を下回る予想を据え置いた。
A ゼネコン以外の業績は?

D 道路舗装上場8社では、6社の受注高が増加し、ゼネコンと同様に好調な滑り出しを見せた。ただ、資機材や技能労働者の不足、原油価格の高騰といったコスト上昇圧力が強まり、厳しい事業環境が続いているというのが各社の共通認識だ。
C 製品販売はストレートアスファルト価格の上昇局面が続いており、販売価格に転嫁し切れていない部分もある。利益圧迫要因として各社とも警戒心を強めており、連結の通期業績予想は7社が期初予想を据え置いた。前期は最終利益が過去最高となった企業も多かったが、原油価格高騰を始めとする不確定要素も多く、各社とも慎重な見通しを立てている。
E 空調大手6社の業績は、上向きの傾向が顕著だ。利益の計上は2社で、そのうちダイダンは前年同期から黒字に転換した。赤字としている企業も、営業損失や経常損失、純損失とも前年同期に比べると赤字幅を縮めた企業が多い。営業損益でみると、新日本空調、高砂熱学工業では赤字幅を前年同期の半分以上に減らしている。
B 年度末の完成が多いため、第1四半期の数字を重要視しないという声もあるけど、それでもいいスタートダッシュだ。売上総利益率が改善している企業も多く、コスト削減や選別受注といった企業側の営業活動も実を結んでいるようだ。
F メーカーは前期の好業績から一変した。特に住宅設備関連事業は住宅駆け込み需要の反動減で、各社とも苦戦を強いられた。LIXILの水回り設備事業、TOTOの国内住設事業はともに減収減益だった。下支え役の新設住宅着工は4-6月に9.3%減という厳しい状況。藤森義明LIXIL社長が会見で住宅市場は「下期から上向く」との期待を強調したのがメーカー各社の声を代弁しているようで印象深かった。
G セメントも需要の高止まりで販売数量は前年同期よりやや落ち込んでいる。ただ、こちらも「下期から上向く」と予想を立てる関係者が多い。
A ところで、日本工営がお盆休み前に英国の建設コンサルタントグループ、ハイダー社を買収するというニュースが飛び込んできたが。
G 買収相手の売上高が約520億円ということにまずは驚いた。日本工営の連結売上高が約800億円なので、自社の3分の2に相当する規模の企業になる。同社はこれまで、日本シビックコンサルタントや玉野総合コンサルタントなどを買収してきたが、今回は比較にならないくらいの大型案件だ。
C 海外では珍しいことではない。欧米のコンサルは、積極的なM&A(企業の合併・買収)で数千億円規模になっている。遅まきながら、日本もそうした時代に突入したという象徴なのかもしれない。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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