岩崎(札幌市)が、点群データから建設地の横断形状を自動生成する処理ソフト「PET's」(ポイント・クラウド・エディット・ツールズ)を開発した。3次元計測による点群データの有効性は注目されるものの、草木など余分なものまで点群として取得してしまうことから、現場活用には事前のデータ処理が求められる。同社企画調査部の奈良久氏は「ユーザーにとって、これまで手作業で行っていた余分なデータを自動処理できるメリットは大きい」と胸を張る。
同社によると、20m四方の法面を3次元計測した場合、一般的に200万規模の点群データが取得できる。このうち地盤面のデータは5万点余り。現場の状況によって誤差はあるものの、地盤などの現況把握に必要なデータは数%に過ぎず、取得した9割以上の点群データは意味を成さない。
これまでは、草木などの余分なデータを排除し、手作業で地盤面を把握していた。しかも起伏が激しい場所では横断線を把握するピッチを縮める必要があり、データ処理の作業手間はさらに増す。取得した点群データから、設計位置に応じて自由に横断線を導く処理ソフトは存在するが、それぞれに処理プログラムが異なる。
一般的には代表点を決め、それよりも低い座標位置を割り出し、三角パッチで3次元処理していく手法が主流。パッチの幅を大きくすれば処理スピードは早まるが、精度は落ちる。同社のソフトは「手作業を自動化したような手法で、パッチを生成せずに有効な点群データから直接、地盤面を導いている」(奈良氏)点が特徴だ。
国土交通省では、3次元モデルデータの活用可能性を検証するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の試行がスタートした。試行プロジェクトの中には施工段階に点群データの活用にチャレンジする現場もあり、点群のノイズ処理ニーズは高まりを見せている。
「点群を使って日々の出来形管理を行いたい」と、ある処理施設の施工者は現場約7000㎡を囲むように、10カ所に3次元計測システムを設置している。施工後の地盤線を手がかりに工事進捗を把握する試み。計測時間はわずか1分間で、約850万の点群を取得する。施工場所には重機なども点在し、それらを取り除き、出来形管理に必要なデータだけを抽出するため、同社のソフトが活用されている。
「現在は北海道内を中心に5件の現場で、点群データの活用に協力している」(奈良氏)。情報化施工をトータルサポートする同社では3次元計測システムの有効性に以前から注目し、いち早く計測機器の提供を進めてきた。点群のノイズ処理という現場の課題を知り、当初は社内の業務ツールとして位置付けていた点群処理ソフトであったが、ユーザーからの評判も良く、商品化に乗り出した。
CIMの導入拡大を背景に大手企業への提案活動を強める狙いから、同社はことし4月に東京支店を開設した。中村利明取締役東京支店長は「ゼネコンを中心に売り込みを始めるが、建設コンサルタントへのニーズも大きい」と考えている。処理後の点群データはCIMソフトとの連携が可能となり、設計から施工へのデータ活用が期待できる。
TS(トータルステーション)測量と違い、3次元計測では面として座標情報を把握できる。「点群データはセンター位置などの大幅な設計変更にも柔軟に対応できる手がかり。これまで手間だったノイズ処理が自動化できることで、建設コンサルタントはより効率的な設計を進めることができる」(奈良氏)。ソフトは今月下旬をめどに販売する。価格は60万円、基本年間保守費は6万円を予定している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
同社によると、20m四方の法面を3次元計測した場合、一般的に200万規模の点群データが取得できる。このうち地盤面のデータは5万点余り。現場の状況によって誤差はあるものの、地盤などの現況把握に必要なデータは数%に過ぎず、取得した9割以上の点群データは意味を成さない。
これまでは、草木などの余分なデータを排除し、手作業で地盤面を把握していた。しかも起伏が激しい場所では横断線を把握するピッチを縮める必要があり、データ処理の作業手間はさらに増す。取得した点群データから、設計位置に応じて自由に横断線を導く処理ソフトは存在するが、それぞれに処理プログラムが異なる。
処理前の点群全体 |
自動処理後の状態 |
地盤面を3次元モデル化 |
手作業を自動化したように直接、点群データから横断線を導く |
「点群を使って日々の出来形管理を行いたい」と、ある処理施設の施工者は現場約7000㎡を囲むように、10カ所に3次元計測システムを設置している。施工後の地盤線を手がかりに工事進捗を把握する試み。計測時間はわずか1分間で、約850万の点群を取得する。施工場所には重機なども点在し、それらを取り除き、出来形管理に必要なデータだけを抽出するため、同社のソフトが活用されている。
「現在は北海道内を中心に5件の現場で、点群データの活用に協力している」(奈良氏)。情報化施工をトータルサポートする同社では3次元計測システムの有効性に以前から注目し、いち早く計測機器の提供を進めてきた。点群のノイズ処理という現場の課題を知り、当初は社内の業務ツールとして位置付けていた点群処理ソフトであったが、ユーザーからの評判も良く、商品化に乗り出した。
CIMの導入拡大を背景に大手企業への提案活動を強める狙いから、同社はことし4月に東京支店を開設した。中村利明取締役東京支店長は「ゼネコンを中心に売り込みを始めるが、建設コンサルタントへのニーズも大きい」と考えている。処理後の点群データはCIMソフトとの連携が可能となり、設計から施工へのデータ活用が期待できる。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
0 コメント :
コメントを投稿