2014/08/23

【産学連携プロジェクト】初会合! 社会基盤に中核的な技術・技能者を育成

文部科学省の委託事業として進められている「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業」のうち、学校法人片柳学園日本工学院八王子専門学校が受託代表法人となっている「社会基盤分野の中核的専門人材養成プログラム開発プロジェクト」の、2014年度第1回産学官連携コンソーシアムおよび職域プロジェクト合同委員会が、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で開かれ、14年度の取り組み概要が紹介されるとともに意見交換が行われた。今年度は職域プロジェクトに「地域」が加わり、「地域版学び直しプログラムの実証」として、地域企業の社員向け地域版オーダーメード教育プログラムや、子育て中・後の女性向け学び直し教育プログラムを開発、実証講座を実施する。写真は座長の家田仁東大大学院教授。
 職域プロジェクトはこれまで、「国内インフラ」「海外インフラ」「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の3つで構成されていた。これを「国内+IT」「海外」「地域」に再編した。
 委員会では、座長の家田仁東大大学院教授が「建設業は技術者・技能者が圧倒的に不足している。そのため、能力のない人でも雇用しなければならなくなってきている。中核的人材の養成は喫緊の課題であり、この場で検討していくことが、実際の人材輩出につながるものでなければならない」とあいさつした。
 概要説明では、12・13年度の取り組みとして、まず、少子高齢化、雇用のミスマッチ、建設業若年就業者の減少、都市・地域インフラ再生、震災復興・防災、地域再生、パッケージ型インフラの海外展開、建設IT技術推進の8つのキーワードを挙げ、これに対する基本理念として▽子どもや若者に建設分野の魅力を伝える▽ニーズに合致した教育の基盤開発と、それに基づく教育の実行▽産学官が連携して人材育成の効果を上げる「しくみ」の構築--を示した。
 このうちのニーズに合致した教育の基盤開発の一環として、「地域」に視点を当て、「建設に係る地域版学び直しプログラム開発プロジェクト」を、新たに立ち上げることにした。14年度は東京・多摩地区(八王子市)を対象に選定した。「圏央道開通で活性化が進む多摩地域をモデルケースに、社会人・女性の学び直しに必要なオーダーメード型教育プログラムの開発、実証を行い、モデルカリキュラムへフィードバック」することを目指す。
 地元のニーズを把握するために、市役所、商工会議所、建設業協会のほか、地元企業3社も参加・協力する。地元企業や業界団体などが求めている社会人の学び方について聞き取り調査し、それに沿った学び直し教育プログラムとする。得られた成果は、「学び直し」に対応したモデルコース(学習ユニット積み上げ方式)として、16年度の正規カリキュラムに活用していくほか、厚生労働省の「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」の対象となる教育訓練と連携していきたい考えだ。また、成果はインフラ関係企業や大学、専門学校、高等専門学校などに報告書や実証講座教科書の形で配布される。
 「地域」以外の職域プロジェクトでは、「海外」で留学生受け入れ制度とデータベース構築の仕組みづくりの検討に着手する。留学生受け入れ制度は、ミャンマーやモンゴルなどを想定している。グローバル人材育成といったニーズに応えるほか、日本の建設ものづくりのすぐれた部分を海外にも浸透させることにより、海外での日本企業の活動をアシストすることや、国レベルや企業で海外の優秀な人材を確保し、今後さらに進む人材不足に対処するというのが狙い。
 データベース構築は、海外で働きたい日本人や留学生、教員を対象とする。国土交通省のデータベース化との連携も視野に入れている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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