2011/07/19

一目で美しい最先端のホテル建築




 世界的に多くのレビューが掲載されている旅行サイト「Trip Advisor」が、最近「一目で美しい最先端の建築ホテル」というランキングを発表した。このサイトはよくホテルのランキングをするが、なかには「世界で一番汚いホテル」、「恐ろしい虫の出るホテル」などネガティブなものも行う。
 しかし今回は、建築的に優れたホテルをあつかった。残念ながら日本国内のホテルは登場しなかったが、興味深い物件がランクインしたので紹介する。
 1位は、ブラジル・サンパウロにある「Hotel Unique」。日系人のルイ・大竹氏が設計した。このホテルは、建物の下面がカーブを描いており、「ウオーターメロン・エッジ」の名のとおり、高さ約25メートルのスイカを切り出したような形をしている。客室内部すら滑り台のようなフローリングだ。外部のエッジを室内にまで取り込み、床は天井に向かってアールを描きながら立ち上がり、シームレスに壁をつくりあげている。
 2位は、スペイン・マドリッドの「Silken Puerta America」。これは13カ国19人の有名建築家がコラボレーションして設計したホテルで、12階建てのそれぞれの客室やバー、ラウンジの設計で個性を競っている。クリエーターの名を列挙すると、12階=ジャン・ヌーベル、11階=ハビエル・マリスカルとフェルナンド・サラス、10階=磯崎新、9階=リチャード・グルックマン、8階=キャサリン・フィンドレイ、7階=ロン・アラッド、6階とバー=マーク・ニューソン、5階=ビクトリオ・ルキノー、4階=プラズマ・スタジオ、3階=ディビッド・チッパーフィールド、2階=ノーマン・フォスター、1階=ザハ・ハディッド。実に蒼々たるメンバーだ。
 さて第3位は、イタリア・ピサの「Hotel San Rainieri」。設計は、サイモン・ミケーリ。建築的にはスマートモダンが特徴。外壁に光を当てることで、さまざまな表情のファサードを演出している。このホテルの高評価は、ホテルとしての充実ぶりだ。トリップアドバイザーの会員評価では、ほとんどが優秀か非常によい、になっている。
 ほかにも、先日このコラムでも扱った伊東豊雄氏のポルタ・フィラホテルが6位、北欧の3XNの「Bella Sky Comwell」が9位などに入った。海外旅行の際は、こうしたホテルに泊まってみるのも一興かも。
(電子メディア局)

1位のホテル・ユニーク

2位のSilken Puerta America(写真はいずれもホテルHPから)


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