2014/09/12

【女性所長誕生!】大手で初、大林組の阿部友香さん 男女問わない適材適所人選

大林組は、所長職に大手ゼネコンで初めて女性を登用した。同社が施工を担う赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業に伴う南北線溜池山王駅連絡出入口設置など関連土木工事の所長に、東京本店土木事業部所属の阿部友香さんを起用。1994年4月入社後、主に都市土木の現場で積み重ねてきたキャリアを踏まえ、「男女問わず、適材適所の人選で決まった」(辻忠彦土木本部本部長室部長)という。

 同社は、90年に女性土木技術者の採用を本格化し、現在は74人の女性土木技術者が在籍している。辻部長は「採用から20数年がたち、それぞれの立場でキャリアアップし、上の方の年代は所長職に就く人材に育ってきた」と明かす。
 所長職に登用するか否かの判断基準は「男女の関係なくマネジメント能力と判断力」とし、「女性は出産や育児などで出社できない期間があるが、能力があれば休職後も十分に活躍できるし、それを当社も望んでいる」という。
 阿部所長に対しては、「女性土木技術者のロールモデルになってほしい」と期待を寄せると同時に、「地下鉄工事は特殊な技術を要するため、その技術を若手に引き継いでいってほしい」とも。
 初の女性所長として現場が注目される中、サポートも充実していく方針だ。
 同社の全従業員に占める女性の比率は15.3%と上場大手ゼネコンでトップクラス。管理職に占める割合は2.1%とトップに位置し、副課長以上も含めると、その割合は5.1%となる。技術部門では、生産技術本部に設計担当の課長もおり、主要なポストを担っている。
 女性土木技術者74人のうち、約4割が現場に従事し、4割弱が生産技術本部など技術部門、残りは営業や開発、管理、現場支援などの部署に所属。海外でも2人の女性土木技術者が活躍しており、1人はインドネシアのジャカルタで高架橋の建設現場に、残り1人はカナダのPPPプロジェクトに従事している。

◆「まさか自分が…」 阿部さんに聞く


 大林組が大手ゼネコンで初めて所長職に女性を登用した。「いずれ女性の所長が誕生するとは思っていたが、まさか自分とは…」と戸惑いを見せつつも、「当社だけでなく、顧客、協力会社など現場に携わっている方々が最後に笑って終われる現場にしたい」と前向きな目標を掲げる。
 1994年4月入社後、地下鉄12号線環状部外苑・代々木工区建設工事を皮切りに、主に都市土木の現場を歴任。そのキャリアが認められ、男女複数の候補者の中から、赤坂一丁目再開発に伴う南北線溜池山王駅連絡出入口設置など関連土木工事を指揮する所長に選ばれた。
 赤坂一丁目再開発は、前職の営業職時代に扱っていた案件で「顧客との付き合いもあり、入り口としては入りやすかった」と明かす。まさに適材適所の人選であり、工事に当たっては、「培ってきた経験を生かし、自分ができることをコツコツ積み重ね、できないことはどんどん相談していく」方針だ。
 現在、同社には女性土木技術者が74人おり、「女性は所長になれないと思っていた人もいる。わたしをロールモデルの1つにして、所長になりたいという希望をかなえてほしい」と期待を寄せる。
 京大農学部農業工学科卒。43歳。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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